研究課題
SDラットを用い、カロリー制限によってミトコンドリア新生のマスター遺伝子として知られるPGC-1alphaの発現が腓腹筋において有意に高まることを確認した。さらに、カロリー制限と筋力トレーニングを組み合わせることによって、PGC-1alphaの発現がより高まることが明らかになった。近年では特にトレーニングの強度に注目した研究が多く行われているが、栄養状態も骨格筋ミトコンドリアの適応に影響を及ぼす重要な因子であると考えられる。また、本研究ではミトコンドリアの「新生」だけでなく、「品質管理」に関わるタンパク質の発現が運動により変化することが示されたことから、一般的にミトコンドリアの量の指標とされる因子だけではなく、質的な変化についても注目していく必要があると考えられる。さらに、運動によってPGC-1alphaの発現が増加する要因として、特に「乳酸」と「酸化ストレス」に着目して研究を進めた。C57BL/6マウスを用い、乳酸投与から3時間後に腓腹筋サンプルを採取し分析を行ったところ、PGC-1alphaをはじめとしたミトコンドリア関連遺伝子の発現が有意に増加することが確認された。これらの遺伝子は運動によって大きく増加することが知られていることから、乳酸が運動によるミトコンドリアの適応に重要な役割を果たしていることが示唆された。一方、抗酸化のマスター遺伝子として知られるNrf2のノックアウトマウスの骨格筋におけるPGC-1alphaの発現レベルには野生型マウスとの差はみられなかった。現在は、PGC-1alphaの発現変化とDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)の発現との関連性について分析を進めている。
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Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism
巻: - ページ: -
10.1139/apnm-2016-0016
巻: 40 ページ: 1137-1142
10.1139/apnm-2015-0184