研究課題/領域番号 |
26750305
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
小川 剛司 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70451698)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 低酸素 / 有酸素能力 / 呼吸筋 / 呼吸 |
研究実績の概要 |
本研究では,高所での有酸素能力低下の個人差発生のメカニズムを運動時の換気増大および呼吸筋の仕事量に注目して解明することを目的として実験を行う.平成26年度は,性差や有酸素能力の高さによって生じる低酸素下での有酸素能力の低下の程度の個人差は呼吸筋仕事量,換気の仕事効率の影響を受けるか否かを検討した. そのために,女性や,有酸素能力の高い競技者などを被験者として,低酸素下(15%酸素),および通常酸素下において,自転車エルゴメーターによる漸増負荷運動を疲労困憊に至るまで行った.このとき,VO2や換気量(VE)などを測定するために呼気ガス分析を行った.また,食道内圧計を用いて, 胸腔内圧を測定した.胸腔内圧と換気量の積分値は,呼吸筋の仕事量(WOB)として考えられることから,換気量当たりの呼吸筋仕事量(WOB/VE)を算出し,換気の機械効率の指標とした. その結果,女性では低酸素下での有酸素能力の低下は男性よりも大きい傾向が見られ,女性においては低酸素下でのWOB/VEと有酸素能力低下に関係が見られた.本研究の結果は女性において有酸素能力低下の個人差の要因は呼吸筋の仕事量が関係することが示唆された.このことは男性と女性で高所での運動において影響の受け方が異なることを意味している. 現在、詳しい結果を解析中であり、本研究の結果は,平成27年度International Congress of Environmental Ergonomicsにおいて発表予定である.また,この結果を受けてさらに研究を進める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の採択により,今年度は呼気ガス分析器の購入を行うことができた.これにより,当初の計画通り実験を完了することができた.実験では被験者確保や環境整備に時間がかかり,実験開始が9月頃となってしまった.最終的には被験者を22名と当初の予定よりも多くデータを取ることができた.また,環境整備においても資金の課題をクリアするために後期まで待たなければならなかったが,順調に環境を整えることができた.その結果,平成26年度研究課題は学会発表および論文執筆の段階に達した.平成27年度中に成果の公表が可能な段階であり,6月に行われる国際学会での成果発表を行う.また,実験を行う過程において新たな課題が見出され,当初の予定よりも更なる研究(実験計画)を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり,平成26年度の研究課題の成果発表を平成27年度に行う.また、当初の計画通りに平成27年度の実験(呼吸筋と組織酸素化動態の関係)を実施する.さらに平成28年度の課題である,高所トレーニングの実施について今年度の夏季に予備実験を行い,研究採択期間内での確実な研究計画遂行と成果の発表のために研究を可能な限り前倒して実施する.
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