研究課題
高強度レジスタンス運動後の栄養摂取のタイミングが消化吸収活動に及ぼす影響を検討した.健常な成人男女11名が合計3回の実験プロトコールにランダムな順序で参加した.被験者は座位で5分間のベースライン測定後,腹筋群,背筋,胸部筋群,大腿部筋群を主動筋とした約30分間のレジスタンス運動を行った.1-2セット目は,50% of 1RM(最大挙上重量)の負荷で10回,3-5セット目は,75% of 1RMの負荷で10回,最終セットは75% of 1RMで疲労困憊に至るまでとした.全ての運動が終了した後,被験者は2つの異なるタイミング[運動終了5分後(PE-5)あるいは30分後(PE-30)]で糖質12gとタンパク質20gを含む栄養飲料400mlを一気に摂取し,その後120分間の座位安静を保った.コントロール条件として,運動は行わず栄養飲料のみを摂取させる条件を行った(Con).運動前および栄養飲料摂取後に,視覚的評価スケールを用いて吐き気の程度を評価した.消化吸収速度の測定評価には13C呼気試験法を用いた.血中グルコース濃度および血漿アミノ酸(分岐鎖アミノ酸)を測定するために,運動前および栄養飲料摂取後に指先より採血を行った。吐き気は,飲料摂取後30分目に PE-5がConに比べて有意に高かった.消化吸収速度は,PE-5がPE-30およびConに比べて有意に遅かった.PE-30はConと同等の消化吸収速度であった.血中グルコース濃度および血漿分岐鎖アミノ酸濃度は,PE-5がPE-30およびConに比べて遅れて上昇したのに対し,PE-30とConは同等の応答を示した.高強度レジスタンス運動の直後では消化吸収速度が急性的に遅延することが示された.運動後栄養摂取のタイミングを消化器系機能や愁訴の程度から考えた場合,運動後30分程は間隔をあけることが望ましいと推察される.
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Chemical Senses
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