研究課題
平成27年度は、細胞・動物実験によりミオグロビン発現に関わるシグナル経路の検討を実施した。骨格筋細胞株に対し、細胞内cAMP濃度の増加を介しPKAを活性化させるメチルキサンチン類 (カフェイン・テオフィリン)を添加した結果、ミオグロビンの遺伝子・タンパク質発現が有意に増加した。また、ミトコンドリア生合成ならびに脂質代謝に関連する遺伝子発現に関しても、同様に有意な増加が観察された。PKAの阻害剤であるKT5720は、メチルキサンチン類によるミオグロビンの遺伝子発現の増加を抑制した。細胞実験において、ミオグロビン生合成を制御することが示唆されたcAMP/PKA経路が、生体においてもミオグロビン発現に関与しているかを検討するため、C57BL/6マウスに対するテオフィリンの慢性投与実験を行った。テオフィリンの慢性投与により、体重ならびに脂肪組織重量の有意な減少が見られたが、腓腹筋・足底筋・ヒラメ筋におけるミオグロビンの発現量に関しては有意な増加が見られなかった。以上から、細胞実験により、cAMP/PKA経路がミオグロビン生合成を制御する新規経路であることが示唆されるが、生体実験において同様の経路が作用し得るかに関しては今後の検討課題である。
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