本研究では、持久性トレーニングを行っている女性アスリートを対象とし、低酸素環境下における運動後の低血圧応答および姿勢変化に対する循環応答について検討することを目的とした。 対象は持久性トレーニングを行っている女性アスリート7名(年齢22 ± 3.4歳、身長158.6 ± 5.9 cm、体重48.3 ± 4.4、BMI 18.9 ± 0.9)とした。常圧常酸素環境(海抜0m相当、酸素濃度約20.9 %、常酸素群)と低酸素環境(海抜2000m相当、酸素濃度約16.4 %、低酸素群)をランダムオーダーで、それぞれの環境下において70%VO2max強度のランニングを30分間実施した。また、安静時、運動終了後10分、20分、30分において仰臥位安静にて心拍変動及び血圧など循環動態を測定した。安静時および運動終了後30分後においては、仰臥位安静の測定を行った後、60°チルト姿勢で各5分間循環動態を測定した。 その結果、常酸素群および低酸素群ともに安静時(常酸素群101 ± 4 mmHg、低酸素群102 ± 4 mmHg)に比べ運動終了後30分に収縮期血圧が有意に低下し(常酸素群100 ± 8 mmHg、低酸素群98 ± 4 mmHg、p < 0.05 vs 安静時)、低血圧応答が認められたものの常酸素群と低酸素群において群間差は認められなかった。また姿勢変化刺激に対する循環応答は、運動前、チルト負荷により常酸素群および低酸素群ともに収縮期血圧が低下したが群間差は認められなかった。また運動後には、常酸素群および低酸素群ともに安静時に比べ収縮期血圧が有意に低下した。しかしながら、常酸素群と低酸素群で差は認められなかった。 本研究結果から、持久性トレーニングを行っている女性アスリートにおいて、運動終了後の血圧低下応答や運動後の姿勢変化刺激に対する血圧低下等の変化がみられたが、常酸素と低酸素といった環境の違いによる循環系応答に差は認められなかった。
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