研究課題/領域番号 |
26750320
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
塩瀬 圭佑 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, その他部局等, 研究員 (70708106)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 筋グリコーゲン / インピーダンス分光法 / 細胞内外液量 / 糖質摂取量 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究として、筋グリコーゲン濃度が増加した際に生じる体水分動態の特徴を、増加程度が大きい場合と小さい場合で比較した。 本研究は成人男性6名を対象とし、クロスオーバーデザインにて実施した。筋グリコーゲン枯渇のための自転車運動を実施した後、72時間にわたり糖質量の異なる2種類の食事を摂取した (炭水化物 8 g/kg body mass; 8 g条件、または12 g/kg body mass; 12g条件)。運動前後と運動72時間後に体重、筋グリコーゲン濃度、細胞内・外液量の指標となるインピーダンス指数 (細胞内液; L2/Z250-5、細胞外液; L2/R5) を測定した。筋グリコーゲン濃度は炭素の磁気共鳴分光法を用い、大腿部を対象として測定した。インピーダンス指数は生体電気インピーダンス分光法 (BIS)を用いて上肢部、下肢部で測定した。 筋グリコーゲン濃度は、両条件において運動前に比べ運動後に減少し、72時間後に有意に増加した。運動前に対する72時間後の筋グリコーゲン増加率は8g条件に比べ12g条件で有意に高かった (8g条件 140±11%, 12g条件 238±96%)。体重は、運動前に比べ運動後に両条件で有意に減少し、72時間後に12g条件でのみ有意に増加した。72時間後の細胞外液・外液指数は、運動前に比べ12g条件においてのみ有意に増加した。インピーダンス指数の変化は下肢部においてのみ生じた。 本研究は、筋グリコーゲン濃度が顕著に増加した場合は体水分量に部位特異的な変化が生じるが、増加程度が小さい場合では変化が生じないことを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、昨年度に引き続き筋グリコーゲン増加時における体水分動態に着目して研究を進めた。本年度は研究課題の1つであった筋グリコーゲンの段階的な増加が体水分量の変化に及ぼす影響を調査することができた。一方、筋グリコーゲン減少時における体水分動態は、インピーダンスの日内変動を考慮した解析が必要であった。そのために必要な基礎実験も本年度に実施することができた。 これまでの活動により全体の研究計画の2/3程度を遂行することができている。来年度には残りの研究課題である筋グリコーゲン減少時の体分動態に関して研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は筋グリコーゲンを減少させた場合の体水分動態に関する2つの研究を実施する予定である。1つめの研究では筋グリコーゲン枯渇状態における体水分動態の特徴をBIS法により明らかにする。2つめの研究では筋グリコーゲンを段階的に減少させた場合における体水分動態の特徴をBIS法により明らかにする。また、これらの研究結果を統合し、本研究の目的であるBIS法による体水分量評価を利用した筋グリコーゲン測定法の確立に取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度では筋グリコーゲン貯蔵量が減少した場合における体水分動態の変化に関する実験を完遂できなかったため使用額に差異が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は、筋グリコーゲンを減少させた場合の体水分動態に関する2つの研究を実施する予定である。今年度に使用されなかった助成金は、これらの実験のうち1つを行うための経費として使用する。
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