研究実績の概要 |
最終年度である本年度は、これまで開発し効果の検証を行ってきた物理的環境要因に着目した用具を提供することによる児童の身体活動を推進するためのプログラムの効率性および普及可能性を検討した。物理的環境要因に着目したプログラムは本介入内容を普及する際、学校が受け入れやすい内容であるということを考慮し、費用の低いボールだけを提供する群とその他さまざまな用具を提供する群の2群で検討を行った。身体活動量の評価には加速度計を用いた値を使用し、座位行動、低強度身体活動、中等度身体活動、高強度身体活動、歩数を用いた。結果として、ボールのみを提供した群では、1人あたりの用具費用の概算1,345円で1日の加速度計装着時間中の座位行動の0.025%(約20.5分)が減少し、低強度身体活動は0.031%(約25.4分)、中等度身体活動は0.005%(約4.1分)増加した。さまざまな用具を提供した群では、1人あたりの用具費用の概算1,403円で1日の加速度計装着時間中の座位行動の0.029%(約23.9)が減少し、低強度身体活動は0.019%(約15.6分)、中等度身体活動は0.011%(約9.0分)増加した。また、歩数は949.7歩増加した。両プログラムを比較すると、座位行動の減少および中等度身体活動の増加にはさまざまな用具を提供した群の方が、低強度身体活動の増加にはボールのみを提供した群の方が費用対効果が高かった。本研究で開発したプログラムは一時的な身体活動の増加だけでなく、介入校における身体活動推進の長期的な効果が認められている。そのため、低コストで一定の身体活動量の変化が認められたこれらの介入プログラムは、物理的環境要因に着目したわが国の児童の身体活動推進への普及可能で効率的効果的な介入方策であると考えられる。
|