研究課題/領域番号 |
26750332
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松村 健太 北海道大学, 情報科学研究科, 研究員 (30510383)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | モバイルヘルス / 実験系心理学 / 情報工学 / 高血圧 / ストレス |
研究実績の概要 |
平成27年度は,研究計画書で記載した次の4項目について研究を実施し,以下の成果を得た。 (1) iOS 9では,CMOSカメラのRGBゲインに変更があった。そこで,全機種で脈拍数(iPR)と皮膚脈動容積指標(iCPV)の双方を安定して測定できるよう,測定アプリiPhysioMeterに改良を施した。合わせて,将来的に高い解像度を持つCMOSカメラ搭載の新機種が出ても自動対応できるよう改良した。その上で,脈動に伴う光量変化をシミュレートするキャリブレーターを用いて基礎的計測実験を実施し,iPhone 4sからiPhone 6s plusまで,iPod touch 6th を含めて方法間信頼性が高く,かつ,パワーメーター測定値と一致するiCPV値を算出できていることを実証した。 (2) キャリブレーターでなく,安静状態のヒトの指(6名,女性6名)を用いても,iPRとiCPVの双方において,iPhone 5s, 6, 6s間で方法間信頼性が高く,かつ,心電図および脈波装置と対応の高い値を算出できていることを実証した。 (3) サンプリング周波数60 Hzへの対応の恩恵を評価するため,iPhone 6sおよび6を用いて安静状態における左右の指の同時測定を行い,両者において,心電図から得られる心拍変動性と高く一致する脈拍変動性を算出できていることを実証した。 (4) 暗算課題を実施し,安静中および課題実施中にiPhone 6sから得られたiPRとiCPVは,心電図および脈波装置から得られる値と高く一致していることを実証した。加えて,安静から課題中へのiPRとiCPVの変化値は,弱いながらも上腕血圧の変化値と相関していることを明らかにした。なお,より良いデータ解析法については,現在検討を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度である平成26年度は,実験に使用予定のiPhoneシリーズが,品薄および4ヶ月以上にも渡る一時的な販売中止という理由により入手不可能であり,そのため計画に予想外の大幅な遅れが生じた。この影響を受け,平成27年度開始時点では大幅に遅れていたが,その後は順調に実験が進んだ結果,平成27年度終了時点では「やや遅れている」という状況まで挽回した。
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今後の研究の推進方策 |
遅れを取り戻してスピードアップしつつ,基本的に当初の研究計画に沿って実施する予定である。現時点において,大きな変更は発生しないと考えている。 ただし,実験に使用予定のiPhoneシリーズのラインナップが当初の予想を遥かに超えて増えているため,研究のスピードアップという観点から,既に生産および販売中止になっている古い機種では,これらを用いたヒトを対象とする実験はもう行わず,代わりにキャリブレーターを用いた実験のみで対応することを検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度である平成26年度の不可避的な遅れの影響により,研究計画に遅れが生じ,次年度使用額が生じた。 平成27年度中に,投稿中の論文が受理にまで至らなかった。そのため,掲載料として予定していた分の使用に至らず,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
既述の通り,研究計画の遅れを取り戻しスピードアップ中である。平成28年度は,当初の予定にこの挽回分を加えて使用する予定である。
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