研究実績の概要 |
平成28年度は,研究計画書で記載した項目と,その発展内容について研究を実施し,以下の成果を得た。 (1) iOS10では,CMOSカメラのRGBゲインと,デュアルカメラの取り扱いについての変更があった。そこで,全機種で脈拍数(iPR)と皮膚脈動容積指標(iCPV)の双方を安定して測定できるよう,測定アプリiPhysioMeterに改良を施した。その上で,脈動に伴う光量変化をシミュレートするキャリブレーターを用いる基礎実験を行い,iPhone 4s, 5, 5s, 6, 6 Plus, 6s, 6s plus, SE, 7, 7 plus,および,iPod touch 5th,6th 間における方法間信頼性が高く,かつ,光パワーメーター測定値と一致するiCPV値を算出できていることを実証した。 (2) キャリブレーターでなく,安静状態のヒトの指(男性6名,女性6名)を用いても,iPRとiCPVの双方において,iPhone 6s, SE, 7間で方法間信頼性が高く,かつ,心電図および脈波装置と対応の高い値を算出できていることを確かめた。 (3) 一拍毎にiPhoneから推定される血圧を評価するために,容積補償法の進化版である改良容積補償法を考案し,この方法を用いる連続血圧計を開発・精度評価を行った。この新装置により,従来の上腕カフ型血圧計では測定不可能であった,(a) 30秒毎の姿勢変化中,(b) 30秒間の精神的ストレス課題実施中,(c) 30秒毎の運動負荷(自転車エルゴメーター)変化中,においても,iPhoneと血圧の同時計測が可能となった。 (4) iPhoneを指に当てる位置が測定値に与える影響を明らかにするために,LEDとPDで構成される脈波センサーを用いた基礎実験を行った。その結果,測定位置の違いはiPRに影響を及ぼさないが,iCPVを平行移動させることが明らかとなった。
|