本研究は現在継続中の出生コホート研究のデータを用いて、思春期の運動習慣形成、及び骨量に影響を及ぼす社会環境要因を検討し、子どもの運動習慣形成、及び骨量増大に寄与する要因を明らかにすることを目的としている。 平成28年度は、平成18年から継続して実施している小学4年生から中学3年生を対象とした骨強度測定と生活習慣調査を実施するとともに、昨年度実施した加速度計を用いた身体活動量調査と社会環境要因に関する質問紙調査より、以下の3つの関連の検討を行った。 ①家庭の社会経済状況とスポーツクラブの所属の有無、及び身体活動量の関連、②スポーツクラブ等の所属とGrit(やり抜く力)との関連、③加速度計で測定した身体活動、座位時間と骨強度の関連 各結果の概要は以下のとおりである。①男子において、社会経済状況が高い家庭の子どもはスポーツクラブに所属している割合が多かった。②スポーツクラブに所属している男子は、根気スコア(Gritスコアの一部)が高かった。③男女ともに、中強度以上の身体活動(歩行以上の運動)時間が長いほど、骨強度が高かった。女子では1日の中で座っている時間が短いほど骨強度が高かった。
また、当初の計画に追加して、生涯にわたる運動習慣形成に関する要因を検討するため、子どもの頃の社会経済状況と高齢期におけるスポーツ関係のグループへの参加との関連を検討した。その結果、男性において、子どもの頃に低い社会経済状況であった人は高齢期にスポーツ関係のグループに参加する割合が少なかった。加えて、昨年度検討を行った両親の学歴と子どもの運動時間について、論文発表にて成果を報告した。
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