研究課題/領域番号 |
26750338
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
辻川 比呂斗 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10348980)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アクティブリカバリー / 運動誘発性ストレス / 唾液アミラーゼ活性 / 尿中8-OHdG / ノルディックウォーキング |
研究実績の概要 |
本研究課題はジョギング、水泳、自転車など下肢への重力が異なる運動様式における運動誘発性ストレスを定量化すること、および身体特性と運動ストレスを考慮したプログラムの開発につながる基礎的データの集積を目的とする。4つのテーマとして、①異なる運動強度における血清中、尿中および唾液中のストレスマーカーの定量、②運動様式の違いによる下肢へのインパクトの差と運動誘発性ストレスとの関連性、③高強度運動後の回復運動時のストレスマーカー動態の検証および④身体的特性、形態的特性および遺伝子的背景との関連性を検討することで、最終的には高強度運動後のストレス軽減を主体としたオーダーメイドリカバリー法の開発を目標としている。 平成27年度は、(1)有酸素運動および無酸素運動前後における運動誘発性ストレスの変化について、(2)30秒間の全力ペダリング後の通常歩行およびノルディックウォーキングによる回復運動についての実験を実施した。 (1)の実験はテーマ①およびテーマ②の目的と対応している。疲労困憊までの最大運動として行なったにも関わらず有酸素運動では、酸化ストレスは有意な変化は無かったものの、30秒間の全力ペダリング無酸素運動においては増大することが明らかとなった。また、唾液アミラーゼ活性についてはある傾向は認められるものの個人間の差が大きいため、統計的な差は認められなかった。(2)の実験は、テーマ③の目的と対応している。その結果から無酸素運動後の通常歩行によるアクティブリカバリーと比較して、ノルディックウォーキングによる回復運動は、同一強度(4Mets相当)にも関わらず歩行速度が有意に遅い条件であっても、十分な生理的パラメーターの回復を認めることができた。 今年度は、テーマ①と並行してテーマ②の運動様式の違いによる下肢へのインパクトと運動誘発性ストレスマーカーとの関連性について解析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、テーマ①および②についての遅れを取り戻すべく進めていった。関連学会や共同研究者とのディスカッションの中で、運動様式の違いについて4施行(水泳・自転車・ランニングもしくは歩行・ノルディックウォーキング)を本来計画していたところ、実験系の複雑さや被験者のリクルートの状況、実施する条件の負担度を考慮して2施行(歩行およびノルディックウォーキング)での実験系として、シンプルな条件での比較実験に変更している。 また被験者の侵襲度についても、採血のタイミングなどが現実的に厳しい状況を加味して、指尖からの微量採血のみとして、血清中の酸化マーカーの測定については見合わせることにしている。 これらの条件の変更に伴い、当該年度における実験計画は大幅に取り戻すことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、研究計画の見直しも含めつつ、ある程度の結果を得ることが出来た。28年度は更にデータを補強するための追加実験を行うとともに、テーマ③までの実験についての結果についてまとめていく。テーマ④に関しては、遂行するにあたりテーマ③までの条件の中でより具体性のある方向に進めたほうが現実的かつ課題となりえるということから、最終年度となる当該年度は唾液アミラーゼ活性はによる交感神経活動のみではなく、R-R間隔からの心拍変動をベースとした自律神経活動についての解析を進めていき、そのデータの信頼性を向上させていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
外注予定であった血液検査等の分として計上していた「その他」の区分の助成金の未使用分や、平成26年度の謝金として計上していた分が大きく、当該年度の使用額が少額となってしまったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験遂行のために実験回数ならびに実験補助を増やすこと、また分析機器のメンテナンス費用を拠出し、使用額を有効に使用して研究遂行していく予定である。
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