本研究課題はジョギング、水泳、自転車など下肢への重力が異なる運動様式における運動誘発性ストレスを定量化すること、および身体特性と運動ストレスを考慮したプログラムの開発につながる基礎的データの集積を目的とする。4つのテーマとして、①異なる運動強度における血清中、尿中および唾液中のストレスマーカーの定量、②運動様式の違いによる下肢へのインパクトの差と運動誘発性ストレスとの関連性、③高強度運動後の回復運動時のストレスマーカー動態の検証および④身体的特性、形態的特性および遺伝子的背景との関連性を検討することで、最終的には高強度運動後のストレス軽減を主体としたオーダーメイドリカバリー法の開発を目標としている。 関連学会や共同研究者とのディスカッションの中で、実験的な制限因子および倫理的課題により、血中のストレスマーカーの定量が厳しいことから、実験条件について見直した。運動様式の違いについて4施行(水泳・自転車・ランニングもしくは歩行・ノルディックウォーキング)の計画について、実験系の複雑さや被験者のリクルートの状況、実施する条件の負担度を考慮して2施行(歩行およびノルディックウォーキング)のシンプルな条件での比較実験に変更し実施した。また被験者の侵襲度についても、採血のタイミングなどが現実的に厳しい状況を加味して、指尖からの微量採血のみとして、血清中の酸化マーカーの測定については見合わせることにした。 実験条件・項目の再設定を行い、アクティブリカバリーを同価強度に設定した通常歩行およびノルディックウォーキングとの比較とし、主運動は120%VO2max強度の2回の繰り返し90秒間全力ペダリング運動を実施した。また、2度目の主運動後にもパフォーマンステストとして無酸素パワーテストを行い、アクティブリカバリーの違いが生体応答にどのような影響を及ぼすかを検討した。
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