研究課題/領域番号 |
26750340
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小西 真幸 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (10711187)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 加齢 / 潜水徐脈 / 性差 |
研究実績の概要 |
本研究は潜水徐脈反応と運動後の心拍回復(heart rate recovery: HRR)の関連を検討することが目的である。平成27年度は性別・年齢・心肺体力の相違が潜水徐脈反応およびHRRに及ぼす影響を検討した。 若年長距離ランナー8名および中高齢者68名に対し、潜水反射試験および自転車エルゴメーターによる心肺運動負荷試験をおこなった。対象者のうち、潜水反射試験および運動負荷試験のデータで解析条件を満たさなかった23名を除き、53名のデータを解析に用いた。対象者の内訳は若年長距離ランナーの男性8名(21±1歳)、40歳代の男性14名(45±3歳)、女性7名(44±2歳)、50歳代の男性6名(53±2歳)、女性3名(56±1歳)、60歳代以上の男性12名(68±6歳)、女性4名(63±2歳)であった。各グループに人数差があるため統計的な処理はまだできないものの、年齢が高くなるほど最高心拍数およびHRRは低くなる傾向があった。潜水反射試験の結果、最大徐脈反応は若年者および40歳代と比較して50歳代および60歳代以上は低い傾向にあった。性差については女性の人数が少なく統計的な処理はできないが、どの年代も性差はない傾向にあった。 HRRの低下および潜水徐脈反応の低下は、加齢または体力低下による自律神経機能の低下の影響と考えられる。体力とHRRおよび潜水徐脈反応の関係を検討するため、平成26年度の一般若年男性13名のデータと若年長距離ランナーを比較した。その結果、若年長距離ランナーは体力が高くHRRも高いものの、潜水徐脈反応は一般若年男性と同程度であった。つまり、HRRには体力が影響するが、潜水徐脈反応には体力の影響は少ないものと考えられる。 今後さらに被験者数を増やし、上記の検討を詳細に解析する予定である。 本研究に関連した論文がClinical Autonomic Researchに掲載された(Konishi et al., 2016)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、潜水徐脈反応と運動後心拍回復について一般人、長距離ランナー、中高齢者の男女を対象に実験を進めることができた。ただし、年齢や性別によってはまだ人数が不足している部分もあり、今後さらに測定を続ける必要がある。平成28年度も継続して対象者を測定する目途は立っている。平成28年度に実施予定の介入研究も打ち合わせを済ませており、おおむね順調に計画が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26、27年度に測定した対象者の人数をさらに増加させるべく、測定を続ける予定である。特に長距離ランナーや50歳代の対象者、各世代の女性を中心に対象者を募集する。また、12週間の運動トレーニングによる潜水徐脈反応および運動後心拍回復の変化を検討すべく、介入研究を実施する。これまでに得られた研究データを用い、随時論文の執筆や学会発表をおこなう予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
対象者数が当初の計画よりやや少なかったこと、国際学会への出張をおこなわなかったことから次年度使用額が生じることとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度にも継続して測定をおこない、研究費を使用する予定である。また国内および国際学会への参加もすでに確定している。
|