研究課題
平成28年度は、研究課題Ⅰ(性別・年齢・身体組成および心肺体力の相違が潜水徐脈反応と運動後心拍回復の関係に及ぼす影響の検討)および研究課題Ⅱ(12週間の運動トレーニングが潜水徐脈反応および運動後心拍回復に及ぼす影響)の実験と解析を進めた。研究課題Ⅰの実績の概要:40~74名の男性66名および女性30名に対し、潜水反射試験をおこなったが、潜水徐脈反応に性差は認められなかった。また、40~74歳の男女63名に対し、潜水反射試験および運動負荷試験をおこなったが、潜水徐脈反応と心肺体力に関連は認められなかった。若年一般男性11名および60歳以上の男性11名に対し潜水反射試験をおこなった結果、60歳以上の男性では若年一般男性より潜水徐脈反応が有意に低値を示した。以上より、潜水徐脈反応は加齢により減弱する可能性がある。今後は、対象者の心肺体力の幅を広げてデータを収集すること、運動後心拍回復との関連を検討することが課題である。研究課題Ⅱの実績の概要:34名の40~50歳代肥満男性(BMI25以上)を対象に、12週間の運動トレーニングが潜水徐脈反応および運動後心拍回復に及ぼす影響を検討中である。既に介入前の測定を終えたところであり、介入から12週間後のデータを測定次第、解析を進める。ただし、運動群の中で5名の離脱者がいるため、対象者の追加を検討している。介入前の自律神経活動(心拍変動)を見ると、以前に我々が測定した若年一般男性のデータと比較して副交感神経活動が低かった。これは多くの先行研究と同様の結果であり、対象者の選定に問題がなかったと言える。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、性別や年齢の幅広い測定を進めることが出来ている。未解析のデータを含めると251名のデータを収集しており、おおむね順調に進展していると言える。また、研究課題Ⅱの12週間の運動トレーニングの研究についても34名に対し測定を実施中であり、5名の離脱者はいるものの、おおむね当初の計画通りの対象者数を確保している。
研究課題Ⅰのデータのうち、未解析のデータがまだ143名分(40~82歳)あるため、その解析を進めていきたい。研究課題Ⅱの研究をさらに進め、介入後の測定データを解析し、成果をまとめる予定である。これらのデータを用い、随時学会発表や論文執筆をおこなう。潜水徐脈反応と運動後心拍回復の関係だけでなく、従来の自律神経活動の指標である心拍変動のデータも追加し、潜水反射試験の自律神経活動指標としての有用性を検討していく予定である。
研究課題Ⅱの介入前の測定を終えたところであり、介入後の測定を翌年度に残しているため、次年度使用額が生じることとなった。
研究課題Ⅱの介入後測定の対象者謝金や血液分析等にかかる費用として研究費を使用する予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Journal of Sports Science and Medicine
巻: 15 ページ: 467-476