研究課題/領域番号 |
26750341
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
塩田 耕平 神奈川大学, 人間科学部, 助教 (40638962)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 睡眠 / 中枢性疲労 / 末梢性疲労 / 運動 / 疲労回復 |
研究実績の概要 |
運動と睡眠の関係性について検討している研究は,運動に伴う睡眠の質の変化に主眼を置いて進められている.一方で,運動に伴う疲労が睡眠によりどの程度回復するのかについては明らかにされておらず,疲労回復としての睡眠の役割という視点からの検討は十分ではない.本研究では,新しい評価法によって疲労の発現部位を中枢と末梢で区別し,疲労の発現部位による睡眠の疲労回復効果の違いを検討することを目的としている.また当該年度では,中枢性疲労における睡眠の効果,および高強度運動に伴う末梢性疲労からの回復機構としての睡眠の効果を明らかにすることを目的とした.当該年度の研究実績は下記の通りである. ・学会発表(ヨーロッパスポーツ科学会議):随意運動中に電気刺激を加えるInterpolated Twitch法による筋の活性度(Voluntary activation)を用いて,夜間睡眠が中枢性疲労回復に及ぼす効果について明らかにすることを目的とした.結果として,通常睡眠条件および部分断眠条件と比較して,完全断眠条件は翌日の主観的眠気および疲労度が高い.一方で,随意最大筋力,Interpolated Twitch法による筋の活性度(Voluntary activation)については条件間に差が見られなかった. ・研究セミナーでの発表(フィンランド,ユバスキュラ大学):疲労回復と睡眠との関係性について概説し,その中で現在行っている研究内容として,「中枢性疲労における睡眠の効果」を紹介した. ・学会発表予定(ヨーロッパスポーツ科学会議):通常睡眠条件および部分断眠条件においては,中枢性疲労と末梢性疲労に正の相関関係が認められた.一方で完全断眠条件では相関関係は認められなかった.この研究成果は2017年7月に発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の目的は,中枢性疲労に対する睡眠の疲労回復効果,中枢性疲労と末梢性疲労の回復機構における睡眠の役割の違いについて検討することであった.前年度から継続してデータを取得しており,着実にデータ数は増加している.さらに,国際学会や他大学における研究セミナー発表といった,研究成果のアウトプットも積極的に行っている.一方で,前年度までのプロトコルの変更および測定器の自作による遅滞を完全に解消することはできておらず,当初の予定からはやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,前年度から継続してデータを取得し,積極的に研究成果をアウトプットする予定である.具体的には,2017年7月に開催されるヨーロッパスポーツ科学会議で発表することが確定している. さらに,研究の最終年度としてこれまでに実施してきた研究の総括を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までに生じたプロトコルの変更および測定器の自作による遅滞が,当該年度内に完全に解消することができなかった.そのため,中枢性疲労と末梢性疲労の回復機構解明のための実験が次年度に実施する予定となり,それに係る消耗品費・謝金及び成果発表のための学会出張旅費が次年度へ繰り越された.また,当該年度に実施した実験の成果発表が次年度に行われるため,学会出張旅費が次年度へ繰り越された.
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次年度使用額の使用計画 |
中枢性疲労と末梢性疲労の回復機構解明のための実験については,実験実施に係る消耗品費・謝金及び成果発表のための学会出張旅費から支出する予定である. 当該年度に実施した実験の成果発表については,7月に国際学会で発表する予定となっているため,学会出張旅費から支出する.
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