研究実績の概要 |
運動と睡眠の関係性について検討している研究は,運動に伴う睡眠の質の変化に主眼を置いて進められている.一方で,運動に伴う疲労が睡眠によりどの程度回復するのかについては明らかにされておらず,疲労回復としての睡眠の役割という視点からの検討は十分ではない.本研究では,随意運動中に電気刺激を加えるInterpolated Twitch法による筋の活性度(Voluntary activation)を用いた新しい評価法によって疲労の発現部位を中枢と末梢で区別し,疲労の発現部位による睡眠の疲労回復効果の違いを検討することを目的としている.また,睡眠の効果を明らかにするために,1.通常睡眠,2.部分断眠(50%),3,完全断眠,の3条件を設けて各条件を比較した.当該年度では,伸張性収縮を伴う高強度運動によって生じる末梢性疲労からの回復機構としての睡眠の効果を明らかにすることを目的とした.当該年度の研究実績は下記の通りである. ・学会発表(ヨーロッパスポーツ科学会議) 通常睡眠条件および部分断眠条件においては,随意最大収縮と中枢性疲労,および覚醒度と末梢性疲労の間に正の相関関係が認められた.一方で完全断眠条件では相関関係は認められなかった. ・学会発表予定(ヨーロッパスポーツ科学会議) 就寝前に肘関節屈曲筋の伸張性収縮を伴う高強度運動を行った後の疲労回復を検討した.この研究成果は2018年7月に発表予定である.
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