研究課題
平成26年度に検討した至適な機械的圧迫のプロトコールと平成27年度に検討した低酸素環境下での一過性の機械的圧迫の実験結果を基に、平成28年度の研究では、定期的な低酸素環境下での機械的圧迫介入が動脈スティフネスに与える影響について検討した。約20名の非喫煙若年男性をリクルートし、半数を通常の空気を吸入して機械的圧迫の介入を行う常酸素群、もう半数を海抜2500mレベルの環境をシュミレートした低酸素ガスを吸入して機械的圧迫の介入を行う低酸素群に分け、両群に対してそれぞれの環境下において1回20分の機械的圧迫を週3回、4週間定期的かつ継続的に行った。詳細な結果は、現在、解析中であり結論づけることはできないが、いずれの環境であっても4週間の機械的圧迫の介入を行うことで、動脈スティフネスが低下することが明らかになりつつある。しかし、常酸素と低酸素といった環境間の違いによる変化量や変化率に統計上有意差は認められなかった。したがって、低酸素環境下での機械的圧迫介入の効果は、常酸素環境下で行うそれとおおよそ同等であることを示唆する結果が得られている状況である。今後、こうした結果となった生理学的な理由を明らかにするため、超音波画像診断装置を用いて機械的圧迫時の血流量を計測するような、いくつかの追試実験を行い、機序の検討を進めつつ、慎重に結論を出していきたいと考えているところである。しかし、少なくとも本年度の知見により、定期的に機械的圧迫を行うと動脈スティフネスが低下することが明らかとなったことは心血管疾患予防のための効果的な運動様の方法を見いだせる可能性を示すものであり、意義深い結果であると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度までに確定させてきた実験条件を基に、本年度は介入実験を行い、一定の見解を得ることができた。しかし、一部、仮説を反証する結果が得られたことから、最終年度である平成29年度は、その生理学的な理由について明らかにし、総合的な観点から研究のまとめを行っていきたいと考えているところである。
先述のように、概ね順調に計画が進展してきているものの、得られた結果の一部が仮説を反証するものであったことから、結論を下すには慎重な議論が必要であると考え、さらなる追加実験を行い、生理学的な機序を検討し、総合的な観点から本研究課題のまとめ、結論づけを行っていきたいと考えている。
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