研究課題/領域番号 |
26750352
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
古谷 嘉一郎 北海学園大学, 経営学部, 講師 (80461309)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自己志向的完全主義 / 子育て / 情報収集行動 / インターネット / 育児 |
研究実績の概要 |
本年度は3件の調査を実施し、分析を行った。以下に現状での分析結果を記す。 第1に、自己志向的完全主義の概念についての検討である。近年の先行研究で指摘されている点を考慮し、自己志向的完全主義には適応に対してポジティブな側面とネガティブな面があることを確認した。複数の調査データに基づく分析から、完全主義変数と適応変数について相関レベルで安定的な結果が得られていることが確認された。 第2に、情報収集行動の特徴である。インターネット検索による情報収集行動は、他のインターネット情報収集行動よりも多くなされていることがわかった。さらに、自己志向的完全主義、その他の心理変数と情報収集行動の関連について整理を行った。 第3に、心理・社会的資源としてのソーシャルサポートの影響である。情報収集源となる身近なネットワーク他者である夫や親などからどの程度サポートを受けているか、さらにサポートが適応変数にもたらす影響を検討した。その結果、夫の親からのサポートが必ずしも望ましい結果をもたらさないことなどが示唆された。 さらに現在、先行研究等の確認を元に、以下の分析を行っている。一般他者を対象としたデータ、ならびに子育て中の母親を対象としたデータを元に、完全主義と接近・回避動機づけの変数の関連について検討を行っている。完全主義と適応等の関連について、接近・回避動機づけの観点からの先行研究が提出されているためである。これらの結果がクリアになると、信念的な側面(完全主義)からの介入アプローチのみならず、動機づけの側面からの介入アプローチにも効果的な可能性を確認できる。加えて、環境要因として、関係流動性や地域の流動性(人口増減)等を考慮した分析を行い、完全主義と流動性や地域特性の交互作用的影響を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に進めることができ、想定していた成果をあげることができている。また資料収集から得た新たな知見によって、これまでとは異なる観点からの検討を試みることができた。現在、これらについて成果をまとめる途上であり、次年度公表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はパネル調査による因果関係の確認を第1目標とする。可能であれば情報収集行動についての客観的な行動データ(利用時間、検索頻度)を取得し完全主義と情報収集行動、ならびに適応の三者関係の影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品・旅費等は所属機関からの研究費で充当できたため。謝金については、研究者が作業を行ったため。さらに、当該年度の調査委託の金額を当初よりも低く抑えることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
パネル調査用の委託費用、ならびに行動データ取得のための費用として扱う予定である。
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