研究課題/領域番号 |
26750352
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
古谷 嘉一郎 北海学園大学, 経営学部, 講師 (80461309)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 子育て / 情報収集 / 完全主義 |
研究実績の概要 |
本年度は以下の点を検討した。 1.完全主義者二次元モデル(Stoeber & Otto, 2006)に基づく検討。Stoeber & Otto(2006)の完全主義の二次元モデルでは、完全主義的懸念と完全主義的努力の二次元に基づく3分類(非完全主義者、健康的完全主義者、不健康的完全主義者)を提案している。そこで、これらの分類と利得接近/失敗回避動機づけ、自尊心、抑うつと関連を一般成人データで検討した。その結果、健康的完全主義者において利得接近動機づけが、不健康的完全主義者において失敗回避動機づけが高いことが明らかになり、動機的側面において差異が見出された。加えて、不健康的完全主義者は抑うつが最も高く、自尊心が最も低いことも示された。このことから、完全主義の不適応的側面として完全主義的懸念が重要であることが明らかになった。追加分析にて、子育て中の母親についても分析を行ったが、同様の結果であった。 2.子育て中の母親における受容的サポートの影響について完全主義の二次元モデルを調整要因とした検討を行っった。不健康的完全主義者は、受容的サポートであっても望ましくない結果を示した。ママ友から受容的サポートを受けることで惨めな気持ちを感じてしまうのである。しかしながら、パートナーである夫からのサポートは、孤独感を低減させる可能性がある。 3.Web上における育児情報収集行動についての検討。本研究は、子育て中の母親における育児情報収集の特徴について、無制限複数選択法(例 当てはまる回答すべてをチェックするというもの)で得たデータを用い、ベイズ推定による因子分析によって検討を行ったものである。分析の結果、解釈可能な因子が抽出された。また、このことにより、回答者の負担が軽減できる可能性も示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
28年度に、完全主義と精神的健康の関連の分析を行い、成果発表をする予定であったが、資料を再検討した結果、これまで検討していた完全主義の理論構成とは視点が異なる知見が発見された(e.g., Holl, A. P., & Davis, P. 2014, Stoeber, J., & Gaudreau, P. in-press, Stoeber, J. in-press)。これにに基づき、作年度は過去に収集したデータの解析をそれらの知見をもとに再分析を行い、追加調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の解析結果や先行研究の知見を考慮したうえで、完全主義の二次元モデルに基づく検討を中心とした調査の実施、並びに媒介要因としての情報収集行動/ソーシャルサポートの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度に、完全主義と精神的健康の関連の分析を行い、成果発表をする予定であったが、資料を再検討した結果、これまで検討していた完全主義の理論構成とは視点が異なる知見が発見された(e.g., Holl, A. P., & Davis, P. 2014, Stoeber, J., & Gaudreau, P. in-press, Stoeber, J. in-press)。そこで、今年度は過去に収集したデータの解析をそれらの知見をもとに行った。その結果、これまでとは異なる知見が見いだされた。そしてこれまでの解析結果や先行研究の知見を考慮したうえで、フォローアップの調査を実施した。
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次年度使用額の使用計画 |
1.パネル調査第1波と第2波の実施を行う。完全主義と情報収集行動、サポート、適応指標の測定を主とする。 2.認知の歪みと完全主義の関連についても実施予定である。
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