研究実績の概要 |
1.完全主義の二次元モデル(Stoeber & Otto, 2006)に基づき、完全主義的努力、完全主義的懸念が心理的適応・不適応に与える影響について、不確実さ不耐性を媒介要因とした検討を行った。完全主義的懸念は心理的適応・不適応に対し、不確実さ不耐性を完全に媒介して影響を与えていることが明らかになった。また、共通性回帰分析を行った結果、不確実さ不耐性に与える完全主義的努力並びに懸念の共通性の効果、並びに完全主義的懸念独自の効果は、完全主義的努力独自効果よりも大きかった。このことから、完全主義的努力と懸念の両方を検討することの重要性が認められた。 2.子連れの迷惑行為に対する迷惑度に子育て経験が及ぼす影響を検討した。子連れの迷惑行為は、①親が直接行う迷惑行為、②親が迷惑行為をしている子どもを注意しない・放置する行為、③子どもが騒ぐ行為、④子どもによる破壊行為、⑤その他の子どもの行為に分類された。加えて、性別、子育て経験(子育て経験無し・経験あり/親アイデンティティ低、経験あり/親アイデンティティ高)を要因として、どの程度迷惑行為を迷惑と感じているかを確認した。その結果、子どもによる破壊行為が最も迷惑であることが明らかになった。また、子育て経験の有無で差が認められた。さらに、女性においては、経験無し群と各アイデンティティ群の間で差が認められた。一方で、男性のみに着目すると、経験の有無等は迷惑度へ影響していなかった。 3.完全主義と社会的サポートが育児バーンアウトに及ぼす影響を検討した。最も不適応であると考えられる不健康的完全主義者において、道具的、情緒的SPの提供は身体的/情緒的消耗感を低める可能性が示された。この結果はSP提供が養育者のバーンアウトの一部の要素に対して効果的であることを示す。
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