研究課題/領域番号 |
26750353
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井本 佐保里 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40514609)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アフリカ / ナイロビ / スラム / ノンフォーマルスクール / コミュニティ / 子ども / 学校 / 生業 |
研究実績の概要 |
ナイロビ市内のムクルスラムを調査対象地とし、同スラム内における居住者の生業の実態とについてインタビュー調査より明らかにすることができた。また、学校と近隣の商店との関わりについても明らかにすることができた。 同スラムは1980年代以降、成長を続けてきた工業地域内に位置する。一般にスラム居住者の多くは農村部からの出稼ぎ労働者といわれるが、調査対象としたのは同スラム内の2つのエリア(ruriie, railwayエリア)の合計50世帯で、そのほとんどがスラム内を職場としていることが明らかになった。 職業は大きく①大家、②小資本家、③自営業、④労働者の4つに分類することができた。①②および③の一部は商用空間を有しており、その多くは自宅と併設または近接していることも明らかになった。 また、両エリアはそれぞれ異なる街区形態を持つ。ruriieは未計画で細く曲がりくねった路地が特徴的である。一方、railwayは計画的で矩形の街区割りとなっている。この街区形態の違いが、両地域における商用空間の形成に大きな影響を与えていることが明らかになった。ruriieエリアでは、土地を不法占拠している住民が多く、敷地内、あるいは路地側に建物を増築することで商用空間を確保している事例が多く見られた。一方、railwayエリアでは、貸家が多く、自由な増築が許されないため、住戸内の一部を改修して店舗としたり、住宅の建設が禁止されているパイプライン沿いのオープンスペースに露店等を出すことで商用空間を確保する事例が多く見られた。 学校と近隣の商店との関係については、20の商店を対象にインタビュー調査を行った。結果、食品や文房具を販売する商店の全てで学校の子どもが日常的な顧客となっているほか、子どもが路上で過ごす休憩時間帯には子どもの行動を見守り(見張り)、安全を確保することに貢献していることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度は3度ナイロビを訪問し、調査を遂行した。調査を進める中で、インタビューと分析の視点を一部追加したが、おおむね予定通り調査を遂行することができ、重要な知見をえることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度に得られた知見を踏まえ、継続して調査を遂行する。H27年度は2-3回の現地調査を実施し、特にノンフォーマルスクールの環境改善に直接的に寄与できるよう、調査および得られた知見の現地への還元を中心に実施していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定通り調査を遂行していたが、年度途中に別の予算がついたため、科研費の一部を振り替えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は現地に2-3回訪問し、調査を遂行するため、その旅費として使用する予定である。
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