研究課題/領域番号 |
26750353
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井本 佐保里 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40514609)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナイロビ / スラム / ノンフォーマルスクール / 教室建設 / 建設作業 / 地元ネットワーク |
研究実績の概要 |
H27年度は、前年度から引き続きナイロビのムクルスラムのノンフォーマルスクールを対象とし、より実践的な研究へと発展させることができた。これまでの研究で、ノンフォーマルスクールが抱える学習環境の課題については明らかにしてきたが、H27年度は、園知見を現地に還元することを目的として、実際に環境改善を行った。 対象としてのは、継続して調査を行っていたノンフォーマルスクール1校で、同校は調査対象校の中でも特に規模が小さく、集会所を利用して教室としてたため、学習レベルに応じた学習環境を十分に担保することができていなかった。学校運営者は、新しく土地を購入し、より広い教室を新設することを計画していた。本研究チームは、前年度までの知見を活かし、新設する教室の設計および施工管理を行った。このことによって、これまで1教室で学んでいた30名強の児童は、年齢に応じて3つの教室に分かれて学習することが可能となった。 教室の建設にあたっては、地元の職人や若者を雇用し、地域のネットワークを活用した体制を組むことができた。これにより、建設作業に携わった若者が自らの子どもをこの学校に入学させるなどの状況も見られた。 以上のように、ノンフォーマルスクールと近隣との関係について明らかにしようとする研究目的・研究計画に基づき、実践的に研究に取り組むことで、これまで見えてこなかったノンフォーマルスクールが近隣に及ぼすインパクトについて着想を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査内容については、当初の予定から変更することとなったが、当初予定できなかった「実践的研究」に取り組むことができ、研究全体の進捗としては、順調に進展していると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度に環境改善に携わったノンフォーマルスクールについて、学校利用者である保護者(約30名)に対するインタビュー調査を実施する予定である。 学校利用者の多くは、教室の新設後に他校から転校をしてきた近隣住民であることが既に明らかになっている。彼らの学校選択の実態、学校が新設されることによって近隣がどのような影響を受けたのか、といった点を明らかにすることを目指す。
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