2016年5月および8月に調査対象地であるナイロビを訪問し、ムクル地区(スラム)におけるノンフォーマルスクールの環境改善に係る実践的研究を実施した。具体的には、ノンフォーマルスクールの教室の改修(2016年5月)および安全性向上のための用務員用宿舎の建設(2017年3月)を実施した。対象としたノンフォーマルスクールは、ナイロビ市ムクル地区に立地しており、ノンフォーマルスクールと呼ばれる教育省より認可を受けずに教育を行っている学校である。 同校の人数増加に伴う教室の増設のニーズを受け、2015年度に教室の建設の実践研究を実施していた。その後、同教室建設の評価を行い、今年度はより構造的に強靭で環境配慮に寄与した構法を採用し、実際に建設することができた。また建設にあたっては、地元の学生や職人と連携することで、両国における建築教育の機会を提供することにも成功した。 一方、昨年度建設を行った際は、近隣との確執が生じ、高いフェンスを設置することになった。一方、建設から1年を経て、近隣との関係が緩和し、近隣の空地をグラウンドとして子どもが自由に利用する様子も見られた。これより、時間を経ることで、近隣と学校の境界が弱まり、学校環境そのものが向上していることが確認された。 今後、建設した教室等のモニタリング評価を継続することで、スラムにおけるノンフォーマルスクールの環境改善に寄与する知見を得ることを目指す。
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