研究課題/領域番号 |
26750355
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研究機関 | 千葉経済大学短期大学部 |
研究代表者 |
柏木 恭典 千葉経済大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80461771)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 子ども学 / 子育て / 母子福祉 / 赤ちゃんポスト / 匿名出産 / 内密出産 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究を踏まえ、平成27年度は、赤ちゃんポスト(Babyklappe)と匿名出産・内密出産のドイツの現状の調査及びそのまとめを行った。本研究の成果として、『名前のない母子をみつめて-日本のこうのとりのゆりかご ドイツの赤ちゃんポスト-』(北大路書房)を執筆・作成した。 とりわけ、内密出産の法体系、運営、支援システムについては、具体的に明らかにすることができた。新法である「内密出産法」の全体的な見通しを立て、その中身を検証することもできた。 また、前年度の研究計画にも記したが、「母子の関係性を排した個々の実存の支援」と「母子の関係性を踏まえた関係性の支援」という思想的構図についても、実際のドイツの支援団体への調査・聞き取りを通じて、ある程度のパースペクティブを得ることができた。 学会発表としては、日本理論心理学会において、「赤ちゃんポストと心理学」という題目での発表を行った。ここでは、これまで研究してきたことを踏まえ、赤ちゃんポストと心理学の関連及びその「隔たり」について論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に作成した研究実施計画に基づいて、その通りに研究を継続できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、赤ちゃんポストと匿名出産・内密出産の議論だけでなく、これら一連の取り組みの背景にある教育学的視座を明らかにしていきたい。赤ちゃんポストに代表される新たな母子支援の理論的背景には、一方で「批判的教育学」の文脈があり、他方で「社会教育学(社会福祉教育学)」がある。ドイツで生まれたこの双方の教育学の地平を明らかにすると共に、その地平が、赤ちゃんポストの取り組みにどのような影響を与えてきたのかを明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究のための旅費(国内)が発生しそうだったので、10万円分前倒し支払請求を行ったが、最終的に前倒し分を使用することがなかった。そのため、次年度使用額の分については、そのまま次年度に予定されている研究のための費用として使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画としては、次年度の研究活動、主にドイツで行う本研究のために用いる予定である。ドイツに限らず、西欧諸国での滞在においては費用が高額となる。そのための費用として用いて、今後の研究に生かすつもりである。
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