研究課題/領域番号 |
26750357
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研究機関 | 仁愛女子短期大学 |
研究代表者 |
乙部 貴幸 仁愛女子短期大学, その他部局等, 准教授 (70513844)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ホームラボ / 乳児 / 選好 |
研究実績の概要 |
本研究では、発達初期における選好の形成要因を科学的に明らかにすることを目的とする。多くの要因を検討する計画には、多数の実験協力者に多数回にわたる実験参加を要請する必要があるが、従来数多く採用されてきた親子を実験室に招く方法は現実的ではない。これを解決するために、現在広く普及してきたタブレット型端末用のアプリケーションとして実験刺激(実験アプリ)を開発し、端末を複数台用意して参加者に貸与することで、自宅において実験に参加できるようにする。これを「ホームラボ」と呼称し、この手法の設計・運用法を確立することも目的とする。 今年度は、実験データを一定数集めてきたが、ファイルアクセスと刺激の提示タイミングに不可避の遅延、予期せぬバグなどがあり、実験の実施やデータ解析が不安定なものとなっていた。しかし、用いているAndroid OSをバージョンアップすることで問題が大幅に改善されることがわかり、そのバージョンアップとそれに伴うアプリの再開発に時間を費やした。年度末時点において、新アプリにて予備的なデータ取得を開始しており、実験とデータ解析が軌道に乗るものと思われる。 このような手法は、従来行われてきた実験室に親子を招く手法とは根本的に違うものであり、実験者のコントロールが及ばない領域も出てくるため、計測に不安定さがつきまとうこともわかった。しかし、この手法を確立していくことで、乳幼児の発達科学研究への参加のハードルを下げ、一般に浸透していくことが期待でき、それが従来にない研究成果につながることも期待できるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
申請段階では安定したプラットフォームを持つApple社のiOSタブレットを使用する予定であったが、申請額からの減額、該当機種の価格改定などにより、目標台数の購入が困難であったため、廉価なAndroidタブレットを採用することにした。そのため、開発の準備、開発、デバッグに想定以上の期間を要した。しかしながら、AndroidOSのバージョンアップによって動作の安定化がある程度見込めるようになってきたため、一定以上の成果につなげる見通しを立てることは可能な状態である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、①アプリの安定化、②実験参加者の獲得の2点があげられる。 ①については、現在、再開発したアプリのデバッグの最終段階にあり、実際に複数の家庭で使用してもらっている。問題が生じなければそのまま実験データとして継続取得していく。 ②については、チラシなどによる告知の他に、自治体の住民基本台帳データベースなどにもアクセスして、参加者の増加を図っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
AndroidOSのバージョンアップによるファイルアクセス、タイミング遅延の改善が見込めることで、実験アプリの再開発を行った。新規のAPIを使用するため、アプリ全体のコーディングと開発側でのデバッグに相当の期間を要した。これにより、今年度に実施する予定であった実験にかかる人件費・謝金を次年度に使用する必要が生じた。また、データ解析に用いる機器についても、再開発したアプリの安定化が見込めるまで購入を見送った。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度に実施できなかった実験・データ解析のため、以下の対象に対して支出する。 まず、アプリの安定化のための開発・デバッグ費用として、開発協力者に対して一定の支払いが必要となる。また、データ解析のため、WindowsまたはMacOS上でAndroidOSをエミュレーションするための環境構築が必要であり、そのための機器を購入する。次に、実験を実施するにあたって、実験参加者の親子への謝礼(図書カード)、告知などにかかわる実験協力者への謝金、自治体に支払う住民基本台帳データベースへのアクセス費用などに使用する。最後に、情報収集・成果発表のための学会参加費・旅費などが必要であり、適宜使用する。
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