本研究では、糖質分子と認識受容体との相互作用を利用することで、特定の臓器やがん組織へのターゲティングが可能となると考え、糖質分子を用いた細胞の特異的認識システムの構築を目指した。近年、細菌由来の免疫活性化糖質分子であるリポ多糖の受容体、TLR4のがん組織における強発現が報告されている。よってリポ多糖誘導体を用いることで、免疫制御機能を有したがんターゲティング分子を見い出せると考えた。しかしながら、一般にリポ多糖は毒性が強い。そこで、宿主細胞内共生菌ならば致死毒性を有するリポ多糖は持ち得ず、無毒のリポ多糖を有するのではないかと考え、共生菌由来リポ多糖の単離構造決定および機能解析研究を展開した。
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