研究課題/領域番号 |
26750368
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
斎藤 洋平 金沢大学, 脳・肝インターフェースメディシン研究センター, 助教 (90723825)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 生体防御 |
研究実績の概要 |
活性窒素酸化物とグアニンヌクレオチドから産生される8-ニトロ-cGMPは翻訳後修飾によるタンパク質機能制御やオートファジー誘導など生体内において重要なメディエーターとして働いている。このシグナル分子の細胞内消去機構の一つとしてこれまでに8-アミノ-cGMPを経由してcGMPへ戻る経路を報告しているが、ニトロ基からアミノ基へ還元される分子機構は不明であった。 そこで本年度は8-ニトロ-cGMPの細胞内還元の分子機構解明に取り組んだ。 研究計画に従って8-ニトロ-cGMPから8-アミノ-cGMPへの還元反応に金属含有細胞内因子が関与しているかについて調査した。生理的条件下、8-ニトロ-cGMPと金属含有細胞内因子とを混合したところ8-アミノ-cGMPの生成が確認された。一方、同条件で同因子非存在下では8-アミノ-cGMPの生成が確認されなかった。このことから、8-ニトロ-cGMPの還元に金属含有細胞内因子が重要であることが示唆された。生理的条件における内因性ニトロ化合物の還元を試験管実験で再現した例はこれまでになく、本研究で初めて明らかにすることができた。 一方で金属含有細胞内因子はタンパク質と相互作用して細胞内に存在することが分かっている。従って、8-ニトロ-cGMPのシグナル消去機構の一つと考えられる8-アミノ-cGMPへの還元には細胞内のタンパク質が関与している可能性がある。今後はどのような金属含有因子結合タンパク質が還元に関与しているかも検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は8-ニトロ-cGMPから8-アミノ-cGMPへの還元に金属含有細胞内因子が関与することを明らかにした。これまでニトロ基からアミノ基への還元反応に細胞内のどのような分子が関わっているのかは判明しておらず、本研究によって初めて明らかとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
8-ニトロ-cGMP以外の内因性ニトロ化合物においても金属含有細胞内因子による還元反応、および元の分子への再生反応(脱アミノ化反応)が進行するか検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は獲得した科研費以外に大学から配分された年度内のみに使用可能な研究予算があり、そちらを優先的に使用したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は大学から配分される研究予算が減額されるため、申請時の使用計画通りに科研費を使用する予定である。
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