研究課題
非リボソーム性ペプチド合成酵素 (NRPS) のアデニレーション (A)に対する高親和性プローブ (aminoacyl-AMS-biotin)の設計および合成を行った. プローブの設計は, Aドメインの触媒反応における高反応性中間体であるアミノアシル-AMPのリン酸エステル結合を安定なsulfamoyl基で置換することに基づく. プローブ分子の固相担体への固定化およびストレプトアビジンとNRPSモジュールとの立体的な反発を最小限にする目的で56Åのスペーサーを有するPEG12-biotinをアデノシンの2’位に導入した. Phe, Pro, Tyr, 2,3-ジヒドロキシ安息香酸 (DHB)およびサリシル酸 (Sal)をリガンド部に有する高親和性プローブを確立した合成経路を基盤とし共通中間体から4工程で合成を行った.これらプローブ分子は,NRPSのAドメインに対し非常に強い親和性を有することが明らかとなった (10-200 nM). テーラーメイドなAドメインの創出に向けて, 設計した基質特異性を有するAドメインをスクリーニングするシステムを構築することは重要な課題である. そこで, 迅速, 簡便, 高感度なELISA platformの開発を検討した.プローブ分子 (Phe-AMS-biotin)のビオチン官能基を利用し, streptavidin-coated plateにプローブを固定化した. 次に, NRPSと結合反応を行った. 続いて一次抗体として抗His抗体を, 二次抗体としてHRPを縮合した抗マウス抗体を用いることで, Pheに基質特異性を有するAドメインを有するNRPS (GrsA)の特異的検出に成功した.
2: おおむね順調に進展している
本年度の研究は, 当初の研究計画通り,Aドメインに対する高親和性AMS-biotinプローブの設計・合成に費やされた. また, 各プローブ分子のAドメインに対する阻害定数Ki値の算出, さらに, 各プローブ分子を固定化したAドメインに対するELISA法の構築を行うことができた. 上記3点を総合し, 本年度の研究は, おおむね順調な進展をみせたと言うことができる.
次年度以降も, 引き続きNRPSのAドメインに対するELISA法の構築を行っていく予定である. とりわけ次年度は当初の研究計画に従い, Aドメインライブラリーの構築, 設計した基質特異性を有するAドメインのスクリーニングシステムの構築を行っていく.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)
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