研究課題
これまでに申請者らは、Receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand (RANKL)刺激によるBone marrow-derived macrophage (BMM)の破骨細胞への分化をTriphenyl compound A (TPh A)が阻害することを見いだし、さらに50種のTPh A誘導体を用いたスクリーニングにより、SUK-39を最も強い破骨細胞分化抑制化合物として同定した。そこで本年度は、SUK-39の破骨細胞分化抑制メカニズムを明らかにすることを目的として研究を行った。RANKLは破骨細胞前駆細胞表面のRANKに結合することで、NF-κB経路やMAPK経路、AP-1経路などを活性化させ、破骨細胞分化関連遺伝子の発現を誘導する。そこでこれらの遺伝子の発現量を評価した結果、SUK-39処理によりNFATc1, Cathepsin K, TRAP, DC-STAMPの減少が確認された。そこでSUK-39の破骨細胞分化阻害機構を明らかにするために、SUK-39の標的タンパクの同定を試みた。光親和型固定化法により合成されたSUK-39固定化ビーズを、マウスマクロファージ RAW264.7細胞から取得した細胞抽出液と反応させ、ビーズで沈降することによりSUK-39に結合するタンパク質を取得した。このタンパク質をMALDI-TOF-MSにより解析した結果、HSP90をSUK-39の標的タンパク質候補として同定した。
1: 当初の計画以上に進展している
SUK39による破骨細胞分化関連遺伝子の変動を明らかにしただけでなく、SUK39の標的分子候補を同定できたため。
SUK39が実際にHSP90と結合しているかin vitroで明らかにしその酵素活性に与える影響を評価し、HSP90阻害と破骨細胞分化阻害活性との関連を検証する予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件)
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