社会的状況では長期的な報酬期待に基づく意思決定が必要となる。ニホンザルを被験体として、複数の報酬獲得ステップを経てゴールに到達する行動課題を学習させ、中脳ドーパミン細胞が表現する将来報酬情報は、学習が過度に進むと超長期的な報酬情報を反映することを明らかにした。また、複数頭のサルを用いた社会的意思決定課題において、動物は他者の選択行動や報酬摂取行動を観察し、自身の学習に利用していることが示唆された。これらの結果は、社会のなかで適切な意思決定を行い、効率的に利益を獲得するための学習に関わる脳神経メカニズムの解明に貢献すると期待される。
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