研究課題
本研究は,上丘の重要な生理機能である,視覚ー運動変換の機構を明らかにすることである.これまでに,2光子顕微鏡をもちいた in vivo カルシウムイメージング法をもちいて,多数の神経細胞の活動を同時に可視化し,個々の神経細胞の応答を,細胞集団の活動としてとらえ,それが,上丘内の空間でどのように表現されているかを空間的に解析し,運動情報として抽出される感覚(視覚)応答がどのように処理されているかを明らかにしてきた.前年度は,上丘浅層における視覚情報処理について,麻酔下マウスの上丘から視覚応答の記録をおこなった.特に,視覚刺激のサイズや,空間的にはなれた2つの視覚刺激の距離に応じて,おこる視覚応答の源弱について解析をおこない,その空間的な特性についての解析を進めた.H28年度はまず,覚醒下マウスにおいて安定に眼球運動を計測するシステムのセットアップをおこなった.げっ歯類では,非麻酔下であってもじっとした状態が続くと全体的に脳活動が低下することが知られている.回転可能な円盤の上にのせることで,頭部固定してあっても歩行ができるようなセットアップをおこなった.saccade のような素早い眼球運動は,産総研で開発された iRecHS2 をもちい,500 Hz 以上で画像を解析し瞳孔中心を計測し,2光子顕微鏡下で,眼球運動の記録が可能になった.通常マウスは,自発的な saccade の頻度が低いが,運動できる状態でさらに,動くグレーティングを提示すると,その頻度が上昇する傾向にあることがわかってきた.これにより,saccade 中のマウスの上丘の神経活動を解析することが可能になった.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)
eNeuro
巻: 17 ページ: 1-10
10.1523/ENEURO.0019-15.2015