ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)の要素技術として必須な神経信号計測技術において、従来の100ch程度しかなかった計測チャネル数を、1000ch以上に発展させ、密な電極間隔による局所的な計測や、粗い電極間での全体的な領域の計測を可能とし、両者を組み合わせた包括的な脳計測を可能とする、新しい超多チャネル計測システムを実現するための研究を実施した。LSIと神経電極の統合化においては、厚さ20umの柔軟ECoG電極へのフリップチップ実装技術によるLSI直接実装を実現するため、まずはポリイミド基板を試験材としたLSI実装試験調査を実施した。実装手段(材料)として金バンプや異方性導電性ペースト、違法性導電性フィルムなどについてテストを行った。また、従来では金ボンディングワイヤを用いた実装基板によってのみLSIの電気特性評価を実施していたので、ポリイミドECoG神経電極基板にフリップチップ実装した小型神経信号計測基板を用い、その電気特性やラットを用いたSEP計測などを実施し、小型神経信号計測基板でもその性能に問題がないことを確認した。この結果を踏まえ、1024ch計測が可能な電極一体型ポリイミドフリップチップ実装基板を作成し、これを用いてサル動物実験を行い、SEP計測に成功した。この研究成果を国内学会及び国際研究会にて発表を行った。本年度はLSIを複数接続したときの配線複雑化に伴うパッケージング肥大化を解消するため、移動体通信では一般的なCDMAを応用し、まずは有線バス接続として利用して複数LSI間のワイヤード多元多重接続を実現することを狙って、多重化送信回路の回路設計及び回路シミュレーションを実施した。
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