研究課題/領域番号 |
26760006
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木下 博子(木下博子) 九州大学, 日本エジプト科学技術連携センター, 学術研究員 (60711223)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 宗教外交 / インドネシア / イスラーム |
研究実績の概要 |
本研究は東南アジアをイスラーム世界の重要な一部をなす地域として位置づけ、当該地域とイスラーム世界をつなぐ国際的イスラーム・ネットワークを分析することで、東南アジアの社会変容を包括的に明らかにすることを目的としている。 初年度は、外交資料からみる宗教外交ネットワークを解明するため、①資料収集および②資料分析を実施した。①資料収集においては、国内および海外関係機関を訪問した。具体的には、京都大学東南アジア研究所図書館、シンガポール大学東南アジア研究所、同大学中東研究所を訪問した。②収集した資料に基づいて、以下の通り資料分析を実施した。まず、(1)インドネシアにおいて中東諸国と密接な関係を構築し、国内においても政権とイスラーム勢力が親密な関係性を維持していたスカルノ期からスハルト政権中盤(1980年代半ばまで)である。次に、(2)スハルト政権がイスラーム政治勢力の排除を行った1980年代後半から、ユドヨノ政権にかけての時期である。 この結果(1)の期間、政権とエジプトをはじめとする中東諸国では、インドネシア人留学生の増加に伴う留学生会館や留学生団体の整備が実施され、現地のインドネシア大使館が中心となり、各国政府と密な連携が実施されていたことが明らかになった。また、(2)の期間においては、留学生が爆発的に増加したことを背景に、各国政府との繋がりが強化された時期であった。これらの資料解析を通じて、インドネシアと中東諸国の宗教外交は、留学生の生活インフラ整備と密接に連携しながら発展していたことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しているが、産前産後休暇を取得したことからインドネシアでの資料収集が実施できなかった。しかし、シンガポール大学図書館での資料収集期間を延長することで、対応した。
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今後の研究の推進方策 |
主としてインドネシアおよびエジプトでの現地調査と並行して資料解析を中心に研究を進める。 中東地域においては、政治社会状況によっては渡航が制限される懸念があるが、当事国以外での聞き取り調査を実施することで対応していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
産前産後休暇を取得したため、海外調査の回数が1回になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度実施できなかったインドネシアにおける海外調査を今年度実施する。
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