本研究課題の実施によって、東南アジアとイスラーム世界をつなぐ国際的イスラーム・ネットワークを包括的に明らかにした。着目したのは宗教外交、巡礼事業など国家が担うフォーマルなネットワーク、および留学による知的交流と、イスラーム社会組織による個人や民間の諸組織が担うインフォーマルなネットワークである。その結果、ネットワークの担い手である国家や、個人のもつトランスナショナルな社会的ネットワークによって、宗教規範のみならず社会規範としてのイスラームを国家、個人の文脈で取捨選択していることが明らかとなった。
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