研究課題/領域番号 |
26760007
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
伊藤 千尋 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 特別研究員 (00609662)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ジンバブウェ / ザンビア / カリバ湖 / 資源管理 / 商業漁業 / カペンタ漁 |
研究実績の概要 |
自然資源に依存した産業が経済を支えているアフリカでは、資源の持続的な利用・管理の枠組みを構築することは急務である。本研究では、南部アフリカに位置するカリバ湖沿岸の主要な漁業資源であるカペンタを対象として、カペンタ産業をめぐる社会の動態を明らかにし、持続的な利用・管理の枠組みを構築することを目的としている。研究対象地はザンビアとジンバブウェである。 初年度にあたる平成26年度は、これまでに収集した歴史資料や政策文書の分析、既往研究や統計データの整理を中心に行った。特に注目した点は、2000年以降の政治・経済危機によりジンバブウェにおける商業漁業をめぐる制度的枠組みが変化してきたことである。同国では植民地支配の下で「白人」入植者らが独占してきた資源を、黒人に再分配するよう求める圧力が高まっていた。それが顕著に表出したのが、2000年以降の土地改革であった。本研究が対象とした商業漁業部門においても土地改革の動向と連動して、許可証(漁業権)の再分配が実施されていた。これら一連の変化にともない、従来は許可証を他者に貸し出すことは禁じられてきたが、一時的に貸借を認める新たな制度が付随的に生まれ、商業漁業に参入することが容易になった。このような制度の変化は、事業者の流動性を高める背景になっていると考えられた。 今後の現地調査においては、事業者の参入の経緯や事業者間の関係性に注目し、資源圧力への影響を検討する。また、今年度の調査の過程で、対象とする魚種が東南アフリカ一帯に広く流通し、ジンバブウェの国内市場にも影響を与えていることが示唆されたため、広域で流通・価格形成プロセスについて調査することも課題となる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は予定に比して現地調査を実施する期間を十分に取ることができなかった。また、特にザンビア側の歴史資料や統計資料が不足しているため、今後は湖を共有するザンビア側ではどのような制度の下で商業漁業が営まれているのかに関する資料を収集する必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、ザンビアとジンバブウェにおける現地調査を実施し、事業者の参入の経緯や事業者間の関係性を明らかにする。また、今年度の調査の過程で、対象とする魚種が東南アフリカ一帯に広く流通し、国内市場にも影響を与えていることが示唆されたため、広域調査を実施し、流通・価格形成プロセスについて調査することも課題とする。そして、資源管理の枠組みに関する学術的な議論を整理し、現地調査で得られた結果を論文として発表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は現地調査に十分な時間を取ることができず、外国旅費として計上していた予算が未使用となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
来年度に予定しているザンビア・ジンバブウェでの現地調査、流通に関する東南アフリカでの広域調査およびイギリスの研究機関での資料収集に充当する。
|