自然資源に依存した産業が経済を支えているアフリカでは、資源の持続的な利用・管理の枠組みを構築することは急務である。本研究では、南部アフリカに位置するカリバ湖沿岸の主要な漁業資源であるカペンタを対象として、カペンタ産業をめぐる社会の動態を明らかにし、持続的な利用・管理の枠組みを構築することを目的としている。 最終年度である2016年度は、成果の公表に向けて補足調査と成果公表のためのデータ分析、論文執筆を行なった。現地調査は8月にザンビアにて行なった。この渡航では、カペンタ漁の漁法・漁船・漁具の差異をザンビア側・ジンバブウェ側で比較するための補足的なデータ収集を目的とした。また、今後の成果共有や発信に向け、ザンビア水産庁と研究打ち合わせを行った。これらの成果は2017年度9月に刊行予定の国際誌(アフリカ内水面漁業に関する特集号)に掲載されることが決定している。また、漁業に関わるアクターの変遷およびアクター間関係についての成果公表を進めるためにデータ分析、先行研究の論点整理を行なった。 これまでの研究活動により、カリバ湖のカペンタ漁においてはザンビア側、ジンバブウェ側で制度が異なることが明らかとなった。商業漁業ライセンスやその他の漁業規制に関しては、ジンバブウェ側がより厳格であった。一方のザンビア側では、管理体制がジンバブウェのように厳格ではなく、両国で取り決められた漁船数よりも多くライセンスが発行されてるなど姿勢に相違が見られた。 どちらの国においても、漁業者らは漁獲の違法な取引が横行していることを問題として認識していた。そのため、今回の研究成果や両国での生態学的研究を含めて、漁業者や両国の管理機関、研究者といった異なるアクターが情報共有や議論を行うプラットフォームの必要性が高まると考えられた。
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