研究課題/領域番号 |
26760008
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
松浦 直毅 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教 (60527894)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アフリカ熱帯雨林 / 住民参加型保全 / 持続的開発 / 大型類人猿 / ガボン / コンゴ民主共和国 / 住民組織 / 文化多様性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アフリカ大型類人猿の生息地であるガボンのムカラバ・ドゥドゥ国立公園とコンゴ民主共和国(DRC)のルオー学術保護区のふたつの地域において、(1) 研究活動が地域の開発と保全にあたえる影響を解明し、(2) 類人猿の研究と保全にかかわる諸アクターの役割や関係性を分析することによって、従来の「開発と保全の統合モデル」に新たらに「研究」を組みこんだ並立モデルを考案することである。事業の中間(2年目)となる本年度は、初年度におこなった現地調査で得られたデータの分析を進め、成果の一部をまとめた。5月の日本アフリカ学会第52回学術大会と12月に静岡市で開催された国際ワークショップで口頭発表したほか、静岡県立大学の「県民の日事業」や公開講座において、広く一般向けに成果を発信した。ガボンとDRCの地域社会の特徴を比較した論考が、『自然はだれのものか―住民参加型保全の逆説を乗り越える』(山越言ほか編、京都大学学術出版会)に、ガボンでの取り組みをまとめた論考が、『森をめぐるコンソナンスとディソナンス―熱帯森林帯地域社会の比較研究』(竹内潔ほか編、京都大学地域研究統合情報センター)に、それぞれ掲載された。また、ガボンの狩猟採集社会の変容をまとめた論文がSenri Ethnological Studiesに掲載決定済である。全体として、当初の計画通りに順調に計画が遂行されており、着々と成果がまとめられているといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
諸事情により当初の計画にあった現地調査は実施できなかったが、そのぶんすでに収集したデータの分析と成果のとりまとめを重点的におこなうことができた。その結果、分担執筆の著書2編と学術論文1編を完成させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
成果出版に関しては過去2年間で当初計画していたのを大きくうわまわる進捗があり、ひきつづき継続していく。最終年度となる平成28年度は、これまでの成果をふまえた現地調査を実施して、研究の目的である「開発・保全・研究の並立モデル」の考案を目指す。外部の阻害要因として、調査国の大統領選挙による政治的な混乱の可能性があるが、現地情報を注視して渡航時期や調査地などについて適切な対応を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
子の誕生により当初予定していた現地調査が実施できなくなったため
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に予定している現地調査を拡充してガボンとコンゴ民主共和国の両国で調査をおこなうことに使用する。
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