研究課題
1946年から1958年にかけて米国が67回におよぶ核実験を実施した、中部太平洋マーシャル諸島をフィールドに調査を進めている。「被曝地の未来をどう拓くのか」を主題に据えて、核実験被害〈補償〉をめぐる包括的研究に取り組んできた。同研究の最終年度にあたる2017年度は、国内外で研究成果の報告と発信に努めた。主な成果は次のとおりである。【国際的な発信】1)‘ISA International Conference 2017’(香港)に参加して国際学会報告を行った。2)マーシャル諸島で開催されたNuclear Legacy Conferenceでの報告をもとに英語論文をHiroshima Peace Scienceに発表した。3)マーシャル諸島の地元紙Marshall Islands Journalに寄稿するなど、現地の社会への研究成果の還元にも務めた。【国内学会報告】1)「環境社会学会」(信州大学)で学会報告「マーシャル諸島 米核実験のその後――『復興』・『再生』を問う」をおこなった。【社会への発信】1)「世界の核災害調査科研費成果報告会」(星稜会館)や「3.1ビキニ市民の集い」(主催:第五福竜丸平和協会、青年会館)など、研究者のみならず、マスコミ、行政、弁護士、NGOなどの実践家らが集う場でも積極的に研究報告を行った。2)中国新聞の文化面で連載「マ―シャル諸島に学ぶ」を執筆した。本研究成果を次につなげるべく、世界各地の核開発の〈その後〉に着目し、相互比較研究を進める新たな共同研究を立ち上げ、米国からJune L. Lorenzo氏を招聘した研究会を実施した。また「世界の核実験補償制度の掘り起こしと国際比較調査:「ニュークリア・ジャスティス」に基づく核被害補償の規範を求めて」が、トヨタ財団の共同研究助成に2018年3月採択された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
KUR REPORT OF KYOTO UNIVERSITY RESEARCH REACTOR INSTITUTE
巻: KURRI-EKR-23 ページ: 11-19
Hiroshima Peace Science
巻: 39 ページ: 43-68