規制づくりにおいて子どもを持ちたいという欲望は重視されてきた。この欲望は生殖補助医療を受ける際の前提として1988の生命倫理法草案ですでに言及されていた。2011年改正時に、男女のカップルの子どもへの欲望が満たされない場合に医療技術を用いて応えるというそれまでの考え方が修正された。同性カップルなど様々な人々の子どもを持ちたいという欲望が認識されるようになり、一方で多様な人々のこの欲望を認め、他方で男女のカップルのこの欲望が満たされない場合にだけ生殖補助医療で対応することが困難になったのである。その結果、生殖補助医療が医学的治療であるとされ、子どもを持ちたいという欲望からは切り離されたのである。
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