| 研究課題/領域番号 |
26760024
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| 研究機関 | 立教大学 |
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研究代表者 |
門田 岳久 立教大学, 観光学部, 助教 (90633529)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 聖の多元化 / 文化遺産 / 入場料 / 観光化 / リビングヘリテージ |
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| 研究実績の概要 |
本研究は観光化された聖地・巡礼における宗教とツーリズムの対立・相克を民族誌的に明らかにするとともに、その融和に向けた観光研究の枠組み構築を目的としている。近年観光現象の多様化によって、伝統的な宗教施設やそこでの信仰実践、あるいは聖地が観光資源となっているが、聖地の保全と観光地開発のコンフリクトも多く発生している。本年度は沖縄の世界遺産・斎場御嶽を主たる調査地として、聖地を取り巻く社会的コンテクストの変容を人類学的・民俗学的な手法によって調査・分析した。斎場御嶽は琉球王国時代から続く聖地であるが、世界遺産指定やいわゆる「パワースポット」ブームなどの影響で訪問者が急増し、"Living Heritage"としての側面を持ちつつも「荒廃」が指摘されるようになっている。2014年度はそこを中心に以下の調査・研究を実施した。1.観光客の増加に伴う環境変化やそれに対する管理者側の対応状況について調査した。特に質的社会調査の手法に基づいて現場での聖地保護にまつわる「トラブル」を具体的な事例によって把握するヒアリング調査に重点を置いた。2.訪問者（巡礼者、観光客）にヒアリング調査を実施することで、聖地を訪れる動機やきっかけとなったメディア体験を探るとともに、観光地イメージを生み出すメディアにおける、聖地表象の変遷を調査した。以上の結果は国立民族学博物館のシンポジウムや日本宗教学会において報告を行っている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は聖地の保護（信仰の持続）と活用（観光開発）の両立を図るには、まず現場の利害対立や観光化に伴う管理の混乱など、実際の状況の複雑性をフィールドワークによって精緻に把握することが必要であると考えた。そのために2014年度は、聖地の管理者側の日常的実践を観察・記録することで、観光開発の文脈で固有の信仰や宗教的要素がどのように取り込まれているか／あるいは遠ざけられているか、語りや行為といったレベルでの調査を遂行し、本研究の基礎的なデータ蓄積を果たした。
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| 今後の研究の推進方策 |
2015年度の推進方策は、1.聖域の観光化を地域住民や伝統的な宗教的実践に従事する宗教者がいかに捉えているのかを明らかにすること、2.入場規制や入域料の導入といった、観光開発に伴う聖地や信仰の保護手法のあり方を他地域の先例と比較検討すること、3.関係主体の多様な声を反映した聖地の開発と保存を両立する手法を探るために、社会的合意形成理論の応用可能性を理論レベルで検討することである。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
現地調査において当初目標としていたデータが予定よりも少ない期間で蓄積することができた関係で、その後に予定していた調査日数を削減したため。
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| 次年度使用額の使用計画 |
データ整理のための人件費、また他地域との比較のための旅費に充当することで、蓄積したデータの有効な分析に使用したい。
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