本研究は、カンボジアにおける孤児院ボランティアツアーを事例として、日本人が参加する海外ボランティアツアーの文化はどのようなものであるのか、それはどのように生成されているのか、さらにそれに関わる倫理的諸問題について、フィールドワークをもとに探求することを目的としている。 平成29年度は、以下のことが行われた: 1.平成28年度までに行った調査をもとに、学術雑誌『観光学評論』第5巻2号に成果を発表した(タイトル「リアリティ充足手段としてのカンボジア孤児院ボランティアツアーにおける演出とパフォーマンス」)。この論文は、孤児院ボランティアツアーとは、ツアー参加者がボランティアという行為を通して孤児の貧困や不幸という「ダークネス」にまなざしを向け、さらに自身のリアリティを充足する行為であるという批判的視点に立ち、孤児院ボランティアツアーの実状と倫理的な課題について考察したものである。 2.本研究の最終の調査を、平成29年12月に行った。(平成28年度に実施予定であったが、現地調査を受け入れて頂いている孤児院の都合により実施できなかったため延期した。) 本研究全体を通して4回の調査を実施した。全体のまとめとして、研究期間は終了しているが平成30年度に、国外で行われる国際学会での発表(平成30年9月にスリランカで開催されるICOHT 6th International Conference on Tourism and Hospitality)と、国際的な学術雑誌への英語論文投稿を予定している。
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