カンボジアの孤児院を事例に、日本人が参加する海外ボランティアツアーの文化を批判的に考察した。海外経験初心者が多いために、ボランティア受入施設によって安全・安心・快適に「ボランティア」活動が行えるように様々な演出が施されていることがわかった。現地事情に明るくないツアー参加者による「ボランティア」は日本的価値観をもとに行われており、多少なりとも新植民地主義的性格を帯びている。このような事実から、ボランティアツアーは受入施設の運営資金獲得には有効な手段であるが、参加者の活動がもたらす福祉的利益には疑問が残った。他者の不幸の商品化と批判されるボランティアツーリズムの倫理的問題点が浮き彫りになった。
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