研究課題/領域番号 |
26760027
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研究機関 | 一般財団法人運輸政策研究機構運輸政策研究所 |
研究代表者 |
栗原 剛 一般財団法人運輸政策研究機構運輸政策研究所, その他部局等, 研究員 (80610344)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インバウンド観光 / 地方観光地 / 経済効果 / 消費行動 / 旅行者行動 |
研究実績の概要 |
本研究は、今後増加が見込まれる地方観光地のインバウンド観光需要を対象として、経済的な観点から外国人観光消費が地域にもたらす経済効果を定量的に検証することを目的とする。 26年度は地域における経済効果計測手法および外国人観光消費データの取得方法について検討した。 経済効果計測手法は、都道府県よりも小規模な地域に適用できること、および地方観光地の政策評価担当者が独自に推計できる簡便なモデルであることを目標とし、乗数理論にもとづく方法を提示した。乗数理論による従来の方法は、地域の産業構造を把握するために膨大な事業所調査が必要であったが、これが地方観光地の負担となり適用事例が少なかった。本研究では、24年に観光庁統計として整備された観光地域経済調査を、地域の事業所調査データに代替する方法を提案した。同調査は地域の経済効果計測を目的とした調査ではないものの、全国の観光地域で観光事業者に原材料費や域内調達割合を調査しており、地域産業構造の実態に合った経済効果検証が可能である。観光庁の統計担当者や専門家との意見交換により、所得部門の波及効果算出の根拠となる域内所得化比率等の与え方に課題があるものの、妥当なモデルであると評された。 外国人観光消費データの取得方法については、これまで市町村等地域単位で外国人観光消費額を把握する調査方法の知見が蓄積していない。そこで、地域での外国人観光消費調査にあたり検討すべき課題を、正確な消費を捉える、費用を抑える、多様な来訪者属性を捉えるという3つの視点から、調査範囲、サンプルサイズ、調査票、調査地点、配布・回収方法および調査員の6つの検討項目に整理して検討した。調査票の設計や調査員の獲得等、十分に検討できた項目がある一方、地域によってデータ回収数が少なく、配布・回収方法の違いが消費額推計に与える影響の分析など、更なる検証が必要な項目も残された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案する経済効果計測モデルは、山梨県富士五湖地域を対象とした実証分析により妥当性を検証するとともに、行政担当者と専門家との意見交換を当初の計画通り行うことができた。調査方法の検討についても、複数地域で試験的に調査を実施し、地域で外国人来訪者に消費調査を実施する際のポイントと検討すべき点をまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
外国人観光消費調査を効率的に実施するため、当初は調査対象地域を拡大する予定であったが、1箇所あたりのサンプルサイズが小さくなると、国籍などの旅行者特性と観光消費との関連分析に支障があることから、26年度にプレ調査を行った実績のある富士五湖地域などで再度調査することを検討している。
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