研究課題/領域番号 |
26770001
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
朝倉 友海 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30572226)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 哲学 / 京都学派 / 新儒家 / 東アジア思想 / 国際情報交換 / 台湾:中国:アメリカ:カナダ:フランス |
研究実績の概要 |
本研究「東アジア哲学の統合理論へ向けて:現代新儒家と京都学派を中心に」は、近現代東アジア哲学における異なった二つの思潮を総合的に把握するような理論的基盤を構築することを目的としている。 この研究課題は、まずは今後の議論のたたき台して機能するような論考を必要とする。そのような論考がこれまで欠けていたため「東アジア哲学」についての議論がうまく進展してこなかったという反省に基づき、本研究では、突破口となるべき論考をまず提示することにより、多様な議論の進展をはかるという方法をとる。 このような計画にしたがい、初年度ではできるだけ論考の発表・公刊に専念し、本研究が明らかにすべき京都学派と新儒家が共通にもつ理論的・形而上学的な構造について、基礎的な見方を提示することに努めた。その見方とは、場所的論理を中心とした京都学派に特徴的な思想と、新儒家の牟宗三にみられる独自の「円教論」とが、理論的な相同性をもつという見方であり、本研究ではこの共通の形而上学的構成を「存在-場所-論的構成」と名付けることで、広く議論を求めるということを行った。 他方、本研究が達成すべき第二の点は、京都学派と新儒家における、近代性と東アジア文化のあり方に関する洞察に関係している。本研究は、両学派の「歴史哲学」を統合することにより広く現代における東アジアの社会や文化のあり方を論じることができるような思想基盤を構築することを目指しているのであるが、この側面に関しては、形而上学的な構造へと重点を置いた初年度の研究では大きな進展は見られなかった。だが、その基礎固めは進んでおり、今後の議論の深化が待たれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、京都学派と新儒家を総合的にとらえるための論考を、次年度以降の作業の叩き台として、いくつか準備・公刊できた。まだ準備中のものに関しては、初年度に必要な資料収集がおおむね順調に進んでいる。ただし、国外での資料収集は、時間の都合でまだあまり進んでいないのが現状でおり、平成27年度に行う必要がある。 また、平成26年度に参加したいくつかの会議を通して、アメリカ・カナダ・台湾・香港の研究者との交流を深め、あるいは新たな交流をもつことで、平成27年度・28年度のいくつかの国際会議の準備を進めることができた。日本への招聘をともなう会議の予定は順調には進まなかったが、他方で、中国・香港および台湾での会議の準備は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
国外での資料収集が、時間の都合で予定通りには進まなかった。その分を国内での収集で補ったため、予算支出が旅費ではなく物品に大幅に偏った。平成27年度には、国外での資料収集を進める必要がある。また、日本への招聘をともなう国内での会議開催については、国内の他の研究者との連携によって進める必要が出てきており、国内の他のプロジェクトとの連携をうまく進めることが一つの課題となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
勤務校では科研費の支出を1月中に終える必要があるため、旅費を他の予算から支出することにしたことによる。 また、支出可能な期間において海外渡航の都合が日程上うまくつかなかったため、その分を国内での資料収集によって補った。このことにより、旅費の使用割合が大幅に縮小し、代わりに物品費としての使用が増大し、支出が物品費に大きく偏ることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費として用いる予定である。
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