本研究の推進により、西田幾多郎以来の場所的論理と牟宗三による円教の理論とに共通する理論的枠組みは、形而上学の「存在-場所-論的」構成として規定されるとともに、両者による「意味」をめぐる考察を基点として理解されるということが示された。意味・出来事・事実の関係を追究することから場所的論理と円教の理論が生み出されており、従来「無の存在論」と呼ばれてきたものもまたこのような理論的基盤の上に展開されている。こうした観点によって、東アジア地域で生まれた京都学派と新儒家という二つの現代哲学が総合的に把握されるのである。
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