• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

19世紀後半のフランスにおける自由論と自我論――その交錯と展開

研究課題

研究課題/領域番号 26770002
研究機関東北大学

研究代表者

村山 達也  東北大学, 文学研究科, 准教授 (50596161)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードベルクソン / フランス哲学 / 自由論 / 自我論 / 道徳哲学
研究実績の概要

2015年度の成果は大きく二点に分けることができる。
第一に、自由論に関わる研究として、ベルクソンが『意識の直接与件についての試論』で提示した「自由は定義できない」というテーゼの分析を行なった。ベルクソンの定義論を、理論的・歴史的観点から検討し、定義に対する(少なくともデカルトまで遡ることができる)伝統的な二つの考え方――(1)定義は認識論的還元を行なわなくてはならず、それゆえ(2)最単純な観念は定義しえない――が上記のテーゼの背後にあることを明らかにした。この成果は、第37回ベルクソン哲学研究会(2015年9月、東北大学)において、「自由はなぜ定義できないのか――ベルクソン『意識の直接与件についての試論』をめぐって」という題名のもとに発表した。
第二に、自由論と自我論の両方が関わる研究として、道徳的行為者の成立条件についてのベルクソンの考え方を検討した。道徳的行為者の成立要件のうちには知性は含まれていないとベルクソンが考えていること、ただし、私たちが現にもつような道徳意識(とりわけ、そこでの責務感の強大さ)を十分に解明するためには、知性の働きを適宜考慮に入れなくてはならないとベルクソン自身も考えていることを明らかにした。この成果は、ワークショップ「道徳とフランス哲学(Morale et philosophie francaise)」(2016年3月、ストラスブール大学)において、「ベルクソンにおける道徳的行為者の理論(La theorie bergsonienne de l'agent moral)」という題名のもとに発表した(フランス語)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自由論・自我論の両方について、研究内容としてはおおよそ予定どおりの成果を挙げることができている。論文化にやや手間取っているが、当初は予定していなかった、海外での発表を行なうこともできたので、全体としては順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今年度は、これまでの成果を集約し、論文や口頭発表として公表することに集中する予定である。ベルクソンの定義論、ベルクソンにおける自由の定義不可能性についての議論、そして、ベルクソンの記憶力理論(とりわけ、そこにおいて潜在性概念が果たす役割)を通じての自我論、に集中する。

次年度使用額が生じた理由

購入を予定していた資料の一部が購入不要であることが判明するなどして、当初に予定していた以上に計画が順調に進展したため。

次年度使用額の使用計画

成果発表の機会を増やし、その必要経費・旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] La theorie bergsonienne de l'agent moral2016

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya Murayama
    • 学会等名
      Journee d'etudes "Morale et philosophie francaise"
    • 発表場所
      Universite de Strasbourg
    • 年月日
      2016-03-21
  • [学会発表] 自由はなぜ定義できないのか――ベルクソン『意識の直接与件についての試論』をめぐって2015

    • 著者名/発表者名
      村山達也
    • 学会等名
      ベルクソン哲学研究会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2015-09-06

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi