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2016 年度 実績報告書

ギリシア自然哲学の展開とペリパトス派的受容

研究課題

研究課題/領域番号 26770003
研究機関秀明大学

研究代表者

松浦 和也  秀明大学, 学校教師学部, 講師 (30633466)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードアリストテレス / 哲学 / 科学史 / 自然哲学 / 思想受容
研究実績の概要

2016年度は、アリストテレス『生成消滅論』をはじめとした自然哲学的著作に現れるアナクサゴラスとエウドクソスの報告に焦点をあてることで、アリストテレスが彼より前の自然哲学者の言説を導入する際の傾向性を明らかにすることに集中した。その結果、示唆されたことは次のことである。第一に、彼は自然哲学者の言説を可能な限り好意的に読解するような寛容さや、その言説と説明対象である自然現象との齟齬や、その言説内の内部矛盾に際して、その齟齬や矛盾の解消を測るような解釈学的姿勢が希薄である。第二に、アリストテレスは自然哲学の遂行において、考察対象の観察とそこからの帰納を基盤としながらも、先行する自然哲学的言説の批判をすることによって弁証法的に議論を構築しているが、その弁証法的考察を可能にした手法のひとつは、彼が自然哲学者の言説を導入する際に、そのように理解すべき論拠を残さずに、過剰に一般化・全称化した命題としてその言説を解することにある。そのような一般化・全称化した命題を通じて、自然現象との齟齬や言説の内部矛盾は生成される。第三に、先行する言説の用い方として、『ニコマコス倫理学』をはじめとした著作で散見されるような方法、すなわち自身の学説の説得力を向上させるために、先行する見解を自身の学説から一定程度説明するような手段をアリストテレスは自然哲学的考察では採用していない。それゆえ、いわゆる「パイノメナ」を議論の出発点とするアリストテレスの考察方法は倫理学的著作でも自然哲学的著作でも採用されていることはしばしば指摘されてきたが、その内実にはずれが見られる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] アリストテレスの自然哲学におけるパイノメナ2017

    • 著者名/発表者名
      松浦和也
    • 雑誌名

      秀明大学紀要

      巻: 14 ページ: 73-88

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] なぜ知らないことは責められないのか―アリストテレスの場合―2017

    • 著者名/発表者名
      松浦和也
    • 学会等名
      JST/RISTEX研究調査事業「高度情報社会における責任概念の策定」第4回公開研究会
    • 発表場所
      秀明大学(千葉県八千代市)
    • 年月日
      2017-02-11 – 2017-02-11
  • [学会発表] 知性の無理解―アリストテレスのアナクサゴラス評―2016

    • 著者名/発表者名
      松浦和也
    • 学会等名
      西洋古典研究会
    • 発表場所
      日本大学文理学部(東京都世田谷区)
    • 年月日
      2016-12-04 – 2016-12-04
  • [学会発表] 人文学に何ができるか2016

    • 著者名/発表者名
      松浦和也
    • 学会等名
      JST/RISTEX研究調査事業「高度情報社会における責任概念の策定」第1回研究会
    • 発表場所
      秀明大学(千葉県八千代市)
    • 年月日
      2016-11-24 – 2016-11-24
  • [図書] アリストテレスの時空論2018

    • 著者名/発表者名
      松浦和也
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      知泉書館

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公開日: 2018-01-16  

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