研究課題/領域番号 |
26770008
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
小川 彩子 学習院大学, 文学部, 助教 (10726582)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 哲学 / 音楽 |
研究実績の概要 |
前年度においては、アウグスティヌスの作品内においてmusica概念が以下に扱われてきたのか、テクストに内在的な解釈を行い、主に『音楽論』とそれに先んじて執筆された『秩序論』との内容を比較研究してきたが、次年度は、こうしたアウグスティヌスの中世的な思考にたどり着く以前の時点で、musicaが如何に捉えられてきたのか、主としてアリストテレスとプラトンの著作を手掛かりに、歴史を遡る形で検討を進めた。その結果、アリストテレスの時点では、かなり中世に通ずる「音」の要素の重視が見て取れたが、プラトンにおいては、いわばmusicaやギリシア語のムーシケーの語源にも繋がるであろう要素の強調が見て取れることが明らかとなった。具体的には『パイドン』の中のムーシケー概念の検討の中で、ムーシケーというものが「音」や「韻律」のみならず、「神の言葉の伝達」といった役割を持つものの呼び名としても用いられているのではないか、という推論を持つに至った。こうした研究の成果は現在論文の形にまとめているところである。なお、今年度、論文として発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度においては、研究自体はおおむね順調に展開していると考えられる。ただし、平成27年度の時点で論文発表までを完了することが出来なかったので、その点に関しては平成28年度に成果を出すものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、プラトンにおけるムーシケー概念の研究成果を論文の形で発表すること、また、アウグスティヌスに至るまでの中間段階でどのような概念変化があったのかを繋げて考えていく予定である。また、平成28年度には国際プラトン学会が開催されるため、諸外国の研究者たちの意見も確認しつつ、研究に役立てたいと考えている。平成28年度が本研究課題の最終年度であるため、研究全体をまとめた成果物を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度からの繰り越しで次年度使用額が生じていたことと合わせて、必要研究書や論文の入手が難航したことが挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度購入することのできなかった資料の収集に努め、平成27年度購入予定の資料より順次購入を進めていく。
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