研究課題/領域番号 |
26770013
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
小手川 正二郎 國學院大學, 文学部, 助教 (30728142)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 哲学 / 現象学 / レヴィナス / 感情 |
研究実績の概要 |
20世紀後半のフランス現象学の成果を明らかにするために、博士論文の成果をもとに、レヴィナスによる現象学の捉え直しの作業を、マリオンらの「現れざるものの現象学」との相違という観点から位置づけ直し、ジャニコーによる「フランス現象学の神学的転回」批判から救い出すことを試みた。この成果を博士論文をもとにした単著『甦るレヴィナス――『全体性と無限』読解』(水声社、2015年)の第1部「レヴィナスの現象学」という形で世に問うた。 第二に、フランス現象学の事象分析をフッサール以後の現象学研究や分析哲学との対比を軸に考察するために、サルトル『存在と無』における羞恥の分析やレヴィナスによる倫理的関係における「負い目」や「羞恥」の分析を、B.ウィリアムズにおける羞恥の分析(Shame and necessity, Berkeley, 1993)と比較し、現象学的分析の特徴と有効性を明らかにした。この成果を香港中文大学で行われた第6回東アジア現象学大会で英語で発表し、日本語に直したうえで「恥の現象学――サルトルとウィリアムズを手がかりに」という論考にして『國學院雑誌』第115巻12号(2014年)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度に予定していたレヴィナス以外のフランス現象学の思想家(アンリ、マリオン)の研究については、当初見込んでいたよりも深く掘り下げることができなかったが、レヴィナスの現象学理解を現象学研究のうちに位置づけ直す作業およびフランス現象学の事象分析を分析哲学との関連で解明することは当初予想していた以上に進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
レヴィナス以外のフランス現象学の思想家(アンリ、マリオン)の研究について、現象学的な感情分析との関連でより掘り下げて研究することを試みる。またジャニコーの「ミニマルな現象学」の構想も分析哲学との関連において事象分析の次元で検討を始める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費に関しては、当初購入を予定していた全集の公刊が遅れていたり、洋書購入に時間がかかってしまっているため。 旅費に関しては、当初予定していた国際学会が次年度に延期されてしまったため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費に関しては、フランス現象学関連および分析哲学関連の洋書購入の手続を迅速に行う。また次年度は、海外での招待講演の依頼が数件あるため、国外出張旅費にあてる。
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