本研究は、中国の古代から中古時期に至るまでの期間において、人間の身体および生命に関し、同時代の人々の間でいかなる観念が共有され、また時代とともにどのように変遷したのかということについて考察を行った。先秦諸子、秦漢、魏晋時代の資料から、その時期の身体観、生命観をうかがいうる資料を探し、その内容についての分析を行った。その際のキーワードとして、「気」「神」「形(体)」「生」「性」「養生」等に注目した。また、当初は予定していなかった唐玄宗の『道徳真経』御注・御疏に関しても、その注釈において治身論が重要な位置を占めているという理由から考察の対象とし、その修身論を支える論理構造について分析を行った。
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